劇団四季のミュージカル「ノートルダムの鐘」が、7月に大阪四季劇場で開幕した。演出家スコット・シュワルツが舞台化にあたって選択したのは、ビクトル・ユゴーの原作小説「ノートルダム・ド・パリ」への原点回帰だった。アニメ映画とは異なるシリアスな人間ドラマが展開される。
アニメとの差別化、原作への回帰
ディズニーは1990年代からブロードウェーに進出し、「美女と野獣」「ライオンキング」「リトルマーメイド」「アラジン」など、アニメと舞台の特性を生かした作品を送り出してきた。「ノートルダムの鐘」もその一つだ。
原作小説は11編に及ぶ長さと複雑な構成から、全訳の読破には相当な根気を要する。抄訳で読んだという人も多いだろう。
原作に忠実な結末と舞台装置
アニメでは、悪者のフロローは死に、フィーバスがエスメラルダと結ばれ、カジモドは民衆に受け入れられて大団円を迎える。しかし小説では、エスメラルダとフロローを同時に失ったカジモドは失意の中で姿を消す。シュワルツはミュージカル版を原作に近づけ、複雑で多面的な人間ドラマを構築した。
劇場全体が大聖堂の内部のような舞台装置も効果的だ。聖歌隊による荘厳な楽曲が響き、バラ窓と呼ばれるステンドグラスから光が差し込む。ユゴーが描いた中世フランスの光と影、理性と欲望や愛情と嫉妬の葛藤を鋭くえぐり、重厚な味わいと深い余韻を残して幕を閉じる。
上演情報
「ノートルダムの鐘」は1996年にディズニーがアニメ映画化し、2014年に米国でミュージカル版が制作された。四季版の日本初演は2016年。楽曲は「ウィキッド」のスティーブン・シュワルツ(作詞)と「アラジン」「美女と野獣」のアラン・メンケン(作曲)が手がけ、演出はスティーブンの息子スコット・シュワルツ。来年2月7日まで大阪四季劇場で上演中。



