一見、無難な中高年男性の服装が「イオンモールおじさん」と揶揄されるのはなぜなのか。服装研究家の宮本文幸氏が、その背景にある「概念のギャップ」と、自己認識のずれについて解説する。
「イオンモールおじさん」とは何か
休日になると、ショッピングモールでよく見かける中高年男性のスタイル——パーカーにチノパン、ボディーバッグ。一見すると清潔感があり、無難な印象を与えるが、なぜか批判の対象となる。この現象は、本人の意図と周囲の受け止め方に大きなギャップがあることを示している。
自己認識の限界
研究によれば、自己流のメイクでは魅力向上がわずか2%なのに対し、プロのメイクアップアーティストが施すと33%向上する(Jones & Kramer, 2016)。これは技術だけでなく、自分では気づけない特徴をプロが客観的に見抜けるからだ。ファッションも同様で、自分の見た目を正しく認識するのは難しい。
なぜ「無難」が叩かれるのか
心理学者の研究(Reber et al., 2004)によれば、人は処理のしやすさ(処理流暢性)に美しさを感じる。しかし「イオンモールおじさん」スタイルは、あまりにありきたりで、かえって違和感を生む。また、年齢に合わない若作りや、だらしなさが無意識に感じ取られることも原因だ。
解決策:他者の目を取り入れる
特別なセンスも高価なブランドも必要ない。重要なのは「整える」という視点と、「他者の目」を持つこと。身近な家族(特に女性)に率直な意見を求めることが、最も確実な第一歩となる。自己流ではなく、客観的なフィードバックを得ることで、印象は確実に変わる。
中高年男性の服装問題は、単なるファッションの問題ではなく、自己認識と社会の期待のギャップに起因する。このギャップを埋めるには、まず自分を知ることから始めるべきだ。



