デザイナー西山景子さんが手がけるブランド「ケイコ ニシヤマ」は、空想の動植物を描いたプリント生地が特徴だ。9月には、東京コレクションで初めてファッションショーを行い、新作を披露した。
2027年春夏コレクションの着想
披露した2027年春夏コレクションは、欧米の植物図鑑や、江戸時代の日本の植物図鑑から着想を得た。日本に自生するユリの原種が西洋に渡り、カサブランカなど新たな園芸品種が生まれ、西洋のチューリップは日本で品種改良されて多様な色や形になった。人の手によって姿を変えながら植物が旅してきたことをデザインに反映した。
特徴的な生地とデザイン
紫や黄色の絵の具で彩ったジャケットは、一輪の花のような立体的なシルエットが印象的だ。植物の繊維を顕微鏡で見た時のような規則的な柄のカットソーとスカートは、京都の「リボン織」の生地で作られている。テープ状の絹のリボン糸などを時間をかけて織り上げており、繊細な日本の手仕事を取り入れた一着だ。
服のプリントは、西洋のユリと日本のユリ、両方の花弁を持つ花、チョウの羽を持つセミなど、写実的に見えるが、すべて実存しない空想の花や虫。博物館や植物園で撮影した写真や図鑑のイラストを切り貼りし、色鉛筆や絵の具で描いて生地をデザインする。
デザイナーの背景と今後の展望
東京都出身の西山さんは、女子美術大を卒業後、2011年に渡英し、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションで生地のデザインを学んだ。卒業後の2014年に自身のブランドを設立し、ロンドンや東京を拠点に活動してきた。
服作りには、幼少期に祖母宅で暮らした経験が影響しているという。「当時、家のテレビはいつも時代劇だったから、テレビも見ず、空想ばかりしている子どもでした」と振り返る。自宅での時間や登下校中に、独自の物語を考えてはノートに絵を描いていたという。
国内の技術や素材を生かした生地や服をデザインすることで、新たな発見や高揚感をもたらすファッションを提案していきたいという。「一つ一つの服が、ランなどのように旅をして、多くの人の手を経て品種改良され、着る人に届いていることを感じてもらえたら」と話す。
最近は仏のインテリアブランド「リーン・ロゼ」と協業し、オリジナル柄のソファを展開したり、他の服飾ブランドに生地を提供したりするなど、活躍の場を広げている。