敦賀市の資料館「人道の港 敦賀ムゼウム」で、戦争や迫害で故郷を追われた難民の苦難を疑似体験する企画展が開かれている。同館は「展示での疑似体験を通じ、『自分の身に起きたら』と考えてみてほしい」としている。
来館者は架空の人物として、年齢や性別が設定されたパスポートを手に、安全な国へ脱出する道のりを体験する。最低限の水や食料が入った重さ約5キロの想定リュックを背負い、赤ちゃんの人形を抱えるなどして会場内を進む。
命のビザと敦賀の歴史
同館は1920年代、動乱のロシアから逃れてきたポーランドの孤児や、1940年代にリトアニアの日本領事代理だった杉原千畝が発給した「命のビザ」を手に日本へ渡ったユダヤ難民が敦賀へ上陸した足跡を伝えている。今回の企画は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所の協力で実現した。
チェックポイントで決断迫る
途中のチェックポイントでは、海路と陸路のどちらを選ぶか、動けなくなった人を助けるか、目をつぶって先へ進むかなど、さまざまな決断を迫られる。大阪府吹田市から訪れた会社員の男性(34)は「難民のことをよく知らなかったが、本当に命がけだというのが実感できた」と話す。
大阪府枚方市から来た女性(66)は「自分も、いつ同じような目に遭うかわからないと思った。充実した展示だ」と感心した様子だった。視察で訪れた清水信介・駐リトアニア日本大使も企画展に参加し、「どういう事態に遭遇するか、想像できる」と評価した。
世界の難民は約4160万人
UNHCRによると、2025年末現在、世界の難民は約4160万人。迫害などを逃れるために自国内で避難している人々を含めると約1億1780万人に上り、解決の兆しは見えていない。
開催概要
企画展は12月20日まで。入館料は500円(小学生以下300円)。問い合わせは同館(0770・37・1035)へ。



