新潟県の「長岡まつり大花火大会」では、毎年必ず打ち上げられる“白い花火”がある。その正体は、真っ白な3発の尺玉だ。これは、長岡空襲の犠牲者を追悼する意味が込められており、地域の平和への祈りを象徴している。古関和典氏(ロケ地研究家、コンテンツツーリズム研究家)によると、この花火は単なる演出ではなく、長岡の歴史と深く結びついている。
『君と花火と約束と』と長岡の結びつき
佐藤勝利主演のアニメ『君と花火と約束と』では、この白い花火が意味深に登場する。作品の舞台として長岡が選ばれた理由には、花火大会の持つドラマ性や、復興のシンボルとしての側面がある。作中では、主人公たちが長岡の風景の中で成長していく姿が描かれ、聖地巡礼の対象としても注目を集めている。
栃尾:上杉謙信ゆかりの城下町と油揚げ文化
長岡市の中心部から車で約30分の場所にある栃尾は、上杉謙信が青年期を過ごした地として知られる。かつては「栃尾市」として独立していたが、2006年の平成の大合併で長岡市の一部となった。過去には越後交通の電車が長岡市街と結んでいたが、1973年に廃止され、現在は鉄道が通っていない。
栃尾の名物は「油揚げ」(地元では「あぶらげ」と呼ばれる)。江戸時代に発祥したソウルフードで、かつて開催されていた「馬市」に訪れた男たちが食べたことで、大きく分厚くなったと言われる。現在では「ジャンボ揚げ」として全国的な人気を誇り、定食のメインおかずとしても提供されている。
寺泊:新鮮な魚介の宝庫と角上魚類のルーツ
日本海に面した寺泊も長岡市内に位置する。2006年までは「寺泊町」であり、佐渡島に最も近い港町として知られる。2019年5月まで佐渡汽船が定期航路を運航していた。現在でも魚市場は賑わい、「寺泊直送」は新鮮な魚介類の証し。通称「魚のアメ横」と呼ばれる「寺泊魚の市場通り」には、ド派手な看板が連なる。最近首都圏への進出が目覚ましい「角上魚類」は、この寺泊にルーツを持つ鮮魚ブランドである。
長岡花火大会と聖地巡礼のすすめ
今年も各地で花火大会が開催される。『君と花火と約束と』で花火の映像美を堪能した後は、作品のメイン舞台となった長岡に足を運んでみてはいかがだろうか。白い尺玉の追悼の意味を胸に、栃尾の油揚げや寺泊の海鮮を味わいながら、アニメと現実が交錯する旅を楽しめる。



