塚本晋也監督の新作映画「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」が9月11日から公開される。戦場での苛烈な現実と、兵士が負った戦争トラウマの問題を世に問う作品だ。塚本監督が原作にほれ込み、10年以上をかけて制作した。
元海兵隊員の手記を映画化
原作は、10代でベトナム戦争に送り込まれた元米海兵隊員の故アレン・ネルソンさんが自らの体験をつづった、映画と同名のノンフィクション。塚本監督が2014年公開の「野火」の映画化を準備する中で手にした資料・書籍の中の一冊だった。
「読んで衝撃を受けた。戦場で起こることを包み隠さず赤裸々に語っていた」と塚本監督は振り返る。
加害者としての戦場体験
ネルソンさんは18歳で海兵隊に入隊し、沖縄のキャンプ・ハンセンを経て、ベトナムで最前線に立った。子どもや女性、老人でもベトコンに協力していると疑えば、お構いなしに殺害するなど殺戮を繰り返した。復員後はトラウマを抱えて、ホームレス生活を送り、精神的に苦しみ続けた。
そんなネルソンさんの存在が、塚本さんの心をとらえた。「何としてもネルソンさんを現代によみがえらせて、多くの人に知ってもらいたいと思った」と語る。
「手加減なしで作った」
塚本監督は「ネルソンさんをよみがえらせたかった。勝手な創作を入れるつもりはなかった。多くの国の人に見てほしい」と話す。戦闘シーンも想定されたが、「手加減なしで作った」という。
映画は、戦争の加害者である兵士の視点から、戦場の現実と心の傷を描き出す。公開を前に、批評家からも「圧倒的で、素晴らしい作品」「塚本監督のこれまでのどの作品とも違う新境地」との声が寄せられている。



