7月3日から全国劇場公開され、早くも「今年NO.1映画」の呼び声高い『トイ・ストーリー5』。全世界で記録的な大ヒットを記録する本作が、なぜ大人にもこれほど響くのか。映画ライター・壬生智裕が、制作陣に直撃インタビューを行い、その深い理由を探った。
ピクサーの“継承”が生んだ世代交代
本作の共同監督を務めるのは、1994年生まれのケナ・ハリス氏。『トイ・ストーリー』第1作の公開前後に生まれた若手世代の有望株だ。監督のアンドリュー・スタントン氏は、本作に「ピクサーが手がけてきた目に見えない映画づくりのノウハウを次世代のスタッフに伝える“継承”」というテーマを掲げている。
ハリス氏は2018年にストーリー・アーティストとしてピクサーに入社。『あの夏のルカ』でストーリー・アーティストを務めた後、短編『アルベルトの手紙』を監督。その後も『インサイド・ヘッド2』でストーリー・アーティストを担当し、本作で初めて長編の共同監督に抜擢された。
インターン生発の新キャラ「スマーティー・パンツ」
本作の新キャラクター「スマーティー・パンツ」は、ピクサーが毎年夏に行っているインターンシップに参加していたインターン生、ナオミ・ユーリーのデザインを基に作られたという。こうした取り組みからも、ピクサーが若手の意見を積極的に取り入れようとしている姿勢がうかがえる。
プロデューサーのコリンズ氏は「若いスタッフの新鮮なアイデアは、作品に新たな命を吹き込む。彼らの声を聞くことが、ピクサーの未来につながる」と語る。
「プロダクション・グランドチャイルド」が初登場
ピクサー作品のエンドクレジットには、制作中に生まれた子どもの名前を記す「プロダクション・ベイビー」という項目がある。本作ではさらに進化し、初めて「プロダクション・グランドチャイルド(孫)」というクレジットが採用された。
コリンズ氏は「ピクサーは大きな家族。私も3人の子どもの名前をクレジットに載せてもらった。孫の世代が登場するようになったのは、20年以上在籍するスタッフがいる証。製作総指揮のピート・ドクターやアンドリュー・スタントンの孫も登場している」と明かす。
この「孫クレジット」は、ピクサーの長い歴史と、スタジオが家族のように結束していることを象徴するものだ。コリンズ氏は「これは愛らしく、ユーモラスで、実に感動的なオマージュだ」と語る。
大人がハマる理由とは
『トイ・ストーリー5』が大人を魅了する理由は、単なるノスタルジーだけではない。作品全体に流れる「継承」と「家族」のテーマが、子育てや仕事に励む大人の心に刺さるのだ。スタントン監督は「この映画は、子どもたちだけでなく、かつて子どもだった大人たちにも贈る物語だ」とコメントしている。
また、ピクサーの技術力の高さも見逃せない。緻密なアニメーションと、世代を超えて共感を呼ぶストーリーは、観客を飽きさせない。公開から数週間が経過した今も、SNSでは「何度も観たい」「大人こそ観るべき」といった声が相次いでいる。
ピクサーの未来を担う若手たち
本作の成功は、ピクサーの世代交代が順調に進んでいる証でもある。ハリス氏のような若手監督が台頭し、インターン生のアイデアが採用されるなど、スタジオは常に新しい風を取り入れている。
コリンズ氏は「ピクサーはこれからも、革新的なストーリーテリングを追求し続ける。そのためには、若い才能を育て、彼らの声を大切にすることが不可欠だ」と語る。
『トイ・ストーリー5』は、ピクサーの過去、現在、そして未来を映し出す、まさに記念碑的な作品と言えるだろう。大ヒット上映中の今、ぜひ劇場でその魅力を体感してほしい。



