映画『開戦前夜』(公開中)から、主演の池松壮亮をはじめ、仲野太賀、中村蒼、佐藤隆太、江口洋介、佐藤浩市が撮影を振り返るインタビュー特別映像が公開された。
石井裕也監督最新作の舞台裏
本作は、猪瀬直樹のノンフィクション『昭和16年夏の敗戦』を原案に、2025年8月に放送されたNHKスペシャル『シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~』のドラマパート(前後編計98分)へ新たな場面を加えた138分の完全版。石井監督が脚本と編集も手がけた。
舞台は、真珠湾攻撃の8ヶ月前となる1941(昭和16)年4月。政府、軍、民間から選ばれた若き精鋭たちが集う内閣直属の機関「総力戦研究所」では、諸外国との総力戦を想定した模擬内閣が結成される。エリートたちがデータから導き出したのは、アメリカと戦えば「圧倒的な敗北」に至るという結論だった。なぜ、その予測がありながら日本は開戦へ突き進んだのか。当時を覆った「空気」の正体に迫る。
キャスト陣が明かす撮影の緊張感
模擬内閣の内閣総理大臣に任命される主人公・宇治田洋一役の池松は、石井監督と企画段階から長期にわたって本作に参加。「なぜあの戦争が行われたのか、そこにはどういう意思決定があったのか。そういうところに踏み込んだ映画だったので、なんとしてもこれを形にしたいなと強く思いました」と明かす。
宇治田と同じ民間出身で、模擬内閣では内閣書記官長兼情報局総裁を担う樺島茂雄役の仲野は、日米戦をめぐる机上演習の撮影について、「今回、現場に異常な緊張感があって。それを俳優部それぞれが自覚して撮影が進んでいった印象があります」と振り返った。
模擬内閣の陸軍大臣、陸軍少佐・高城源一役を演じた中村も、「あれだけの大人数の中で、(自分が)映っているか映っていないのか分からないような時間もある中で、それでも気を抜かずに、本気で真剣に取り組んでいる現場でした」と証言する。
熱演を称賛する声と作品の意義
総力戦研究所のメンバーをまとめる陸軍中佐・瀬古明役の佐藤隆太は、「同じ表現者として全ての役者から刺激をもらった感じがしますし、みんな向き合い方がカッコいいなと。一人一人の息遣いすら感じられるようなお芝居を一連で撮っていた」と、若いキャストたちの熱演を称賛。さらに、「すごい緊張感で、見ているこっちの息が乱れるような……。みんなの呼吸も感じられたので、真剣なぶつかり合いを感じてもらいたい」と語り、俳優陣による“演技合戦”を見どころに挙げた。
瀬古と同じく、総力戦研究所を作ったメンバーの一人であり、陸軍中佐・西村良穂役を演じた江口は、「人間たちが熱く語り合っているだけで、ものすごく怖さを感じる」と本作を表現。「(キャスト・スタッフも含め)みんな戦争を知らない世代ですし、だからこそ知ってやろうという思いもありました。エリートたちがこんなに必死になっても歯向かうことができなかった空気など、書物だけでは伝えきれない感覚を、この映画では見せてくれると思います」と語った。
そして、陸軍大臣で、のちに総理大臣となる東條英機を演じた佐藤浩市は、「日本は常に戦後であるべき。当たり前ですが、戦前に戻っても戦中に戻ってもいけない。そのようなことをみんなで振り返るためにも、この映画が存在する意味はある」と作品の意義を訴える。
クランクアップの様子も収録
映像には、各キャストがクランクアップを迎えた際の様子も収録。池松は「こういう映画があったらいいな、ということじゃなく、もう、あるべきだと。今の時代に石井さんが発表するべきだと思ったことを覚えています」と本作との出会いを振り返る。撮影を終えるにあたり、「戦後80年にこうしてできたことに、何か運命めいたものを感じていて。個人的には、この作品のためにもしかしたら俳優をやってきたかもしれないとすら思いました」と強い思いを語っていた。
映画は7月31日に全国89館で公開され、公開10日間で興行収入1億円を突破。東京・TOHOシネマズ日比谷では初日から10日間連続で満席となるなど、公開2週目も各地で満席の上映回が相次いだ。動員の伸長を受け、公開3週目に20館、4週目に44館、計64館での追加上映が決定している。



