出口夏希は『ドラゴンボール』、蒔田彩珠は『NANA』 ベネチアで好きな漫画を告白
出口夏希は『ドラゴンボール』、蒔田彩珠は『NANA』 ベネチアで告白

イタリアで開催中の「第83回ベネチア国際映画祭」で現地時間7日、コンペティション部門に選出された『ルックバック』(9月11日公開)の公式記者会見とフォトコールが行われた。是枝裕和監督をはじめ、ダブル主演の出口夏希と蒔田彩珠、2人の子ども時代を演じた七瀬ふうりと岡田六花が出席。漫画を描く場面の舞台裏や、作品に込めた思いを語った。

4ヶ月にわたる漫画練習、劇中にも実際の絵を使用

劇中で使われた漫画について聞かれた出口は、「撮影が始まる4ヶ月前から漫画を描く練習を始めました」と説明。「練習してきたものを、映画の中でも使っていただいています」と明かした。

藤野を演じるために描き続けた日々は、決して簡単なものではなかった。

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「大人になってから絵を描く機会が本当になくて、マメができて、手が痛くなりました。漫画練習は本当に大変だったのを覚えています」(出口)

蒔田も漫画に加え、美術大学へ進学した京本が取り組む油絵を練習した。大学時代の絵を描く場面では「プロの方に描いていただいた絵の上から筆を乗せる形で撮影していました」と説明した。

七瀬も「頑張って練習してきたので、使われています」と笑顔。岡田は漫画練習に加え、聞き慣れない秋田弁の習得にも苦労したと振り返った。

好きな漫画を告白、日本の漫画文化への親しみ伝える

それぞれが好きな漫画も明らかに。出口は『ドラゴンボール』、蒔田は『NANA』、七瀬はホラー漫画『ダークギャザリング』、岡田は『DEATH NOTE』を挙げ、世界の報道陣に日本の漫画文化への親しみを伝えた。

是枝監督は会見で、コロナ禍の苦しい時期に書店で偶然手に取った原作に救われたと説明。作品から創作者としての覚悟を問われ、背中を押されたように感じたことが実写化の原点になったという。

漫画の価値観の変化と“音”で描く成長

藤本作品が実写化されるのは今回が初めて。是枝監督は、日本社会における漫画の位置づけも大きく変化したと語った。

「僕が子どもの頃は、漫画ばかり読んでいると駄目な大人になると言われていました。大人が漫画を読むことが、それほどポジティブに捉えられなかった時代が長く続いた気がします」

そうした価値観が、この10年から20年ほどで変わったと実感しているという。

「僕の場合は、もちろん手塚治虫さんからスタートしています。漫画と出会いながら大人になっていますので、いまは多くの人が、文学を読むのと同じように漫画を読むという意識を持っているんじゃないかな」

是枝監督が実写化にあたって重視したのは、漫画が生まれる過程と、そこに響く「音」だった。「ためらいながら弱々しい音を立てていたペンが、やがて迷いなく力強い音を出し、それが二つに重なって、デジタルへ変化していく」

紙にペンを走らせる音の変化に、藤野と京本の成長を重ねた。2人で描き始めた線が力強さを増し、制作方法も時代とともに変わっていく。その過程を実写映画ならではの音と映像で表現した。

「漫画というものがどういう風に作られ、出来上がっていって、しかも時代とともに変わっていくのかということを、作品の2人の成長を通して描けたことがとても大きな意味があったかなと思います」と語った。

過去だけでなく、未来も共有する2人

映画には、実写映像にロトスコープを用いたアニメーションを重ねた印象的な場面も登場する。

是枝監督は、藤野と京本が「自分たちの連載漫画がアニメになる」という夢を語り合う場面に言及。別々の道を歩みながらも、2人が同じ夢を思い描いていたことを表現したかったと説明した。

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「自分たちが過ごしてきた時間が、そのままアニメーションになるという描き方をしたいと思いました。それは過去を共有していると同時に、未来も2人は共有しているということ。その意識で、最後の背中を撮りたいと思ったことが一番大きかったです」

会見後のフォトコールには、刺しゅうを施した華やかな衣装の出口と、ボルドーレザーのコートドレスをまとった蒔田、是枝監督、七瀬、岡田がそろって登場。現地ファンから大きな声援を受けると、笑顔で手を振り、サインや写真撮影に応じていた。