戦後の混乱期に米兵とみられる男性と日本人女性の間に生まれ、5歳で渡米した女性が実母を捜す様子を記録したドキュメンタリー映画「Yokosuka1953」(2021年制作)が10月4日、奈良市のホテル尾花で上映される。監督を務めた和歌山大の木川剛志教授は「戦争は終わった後にも悲しみがある。作品を通して、戦後の混乱期に声を上げることができなかった悲しみに寄り添う視点を共有できれば」と話している。
5歳で生き別れ、渡米した女性の実話
バーバラ・マウントキャッスル(日本名・木川洋子)さんは1947年、神奈川県横須賀市で生まれた。当時、進駐軍兵との間で生まれた子どもは差別の目を向けられたという。バーバラさんは児童養護施設に預けられた後、53年に養子縁組で渡米し、実母と別れた。
映画の制作は2018年、バーバラさんの娘が母と同じ名字の木川教授にSNSを通じてメッセージを送ったことがきっかけだ。
監督がたどった母捜しの記録
木川教授は福井市、和歌山市の空襲を研究し、戦災孤児を調べたこともあることから、横須賀で母親捜しを始める。言葉もわからず渡米したバーバラさんが母親の「迎えにいくから」という言葉を支えに過ごした孤独な幼少期や、母親を慕う気持ちをインタビューで丁寧にくみ取った。66年ぶりに訪れた故郷では住民らとの交流を通じ、母親の面影を追う姿に迫った。
上映会の詳細
上映会は、光明寺(大淀町)で芸術振興を目的に映画や音楽、アートを楽しむ取り組みを展開する「光明寺子屋」が主催。三浦明利住職は「光の当たらなかったところに光を当てた映画。精いっぱい生きることの美しさもあり、平和の大切さが届くはず」と話している。
午前10時半と午後2時半の2回上映される。各回40人。観覧料は1000円。木川教授らのトークもある。予約はホテル尾花(0742・22・5151)。



