歴史学者の倉本一宏氏(国際日本文化研究センター名誉教授)が、原島広至著『今昔地図でたどる 京都御土居散歩』(学芸出版社、1980円)を評している。
御土居とは何か
御土居とは、豊臣秀吉が上京と下京に分断された京都を復興・防衛するため、また鴨川の堤防として町の周りに築いた土塁である。同時に町中と外部を隔てる表象ともなり、「御土居の中だけが京都だ」という認識が今日に至っている。
倉本氏は、京都の道を歩くとしばしば御土居の跡を通っていたはずだが、精密な地図を持っていなかったため、廬山寺や北野天満宮の近辺を除いては、どこが御土居跡かわからず残念な気がしていたと述べている。
本書の構成と魅力
本書は、御土居を精密な地図と古地図、写真、昔の絵葉書、解説文で辿る内容で、御土居跡に立つ京都駅から説き始め、7つの章に分けて解説し、京都駅に戻る構成となっている。倉本氏は、写真を撮るために何度も訪れた源融の(六条)河原院や有名な五条楽園の故地である五条河原町近辺に特に興味を惹かれたとしている。
「この本を持って京都を歩けば、観光客とも会わずに興味深い旅が楽しめるであろう」と評している。



