「がんばれ!」という励ましが、かえって重くのしかかる時代になった。低成長、過疎化、高齢化など、がんばった先が見えにくい現代。筑波大教授(教育心理学)の外山美樹氏による『「がんばれない」 心で何が起きているか』(ちくまプリマー新書)は、そうした人の心の内に分け入る。
努力が報われないとどうなるか
報われなかった努力を「損失」とみなすタイプは、チャレンジせず易きに流れる。逃げるは恥とばかりに無理に努力するタイプは危険だ。どんなにがんばっても出口が見つからず、体に慢性炎症という“火事”が起き、ニッチもさっちもいかなくなる。
「定員が決まったバス」からの脱却
著者は人生を「定員が決まったバス」と見なす発想を提示。目の前の目標にこだわり、それだけで席を埋めてしまったら、新たな興味や関心の座る席がなくなる。そこで、ここぞの時には「別の可能性のための『空席』をつくる」ことが持続的な成長の道だと提案する。山登りも努力も一本道ではない。しなやかに「やり抜く力」を伝授する一冊だ。



