『死って、なんだろう? 子どもたちからの38の質問』(エレン・ダシー/アンナ・フアン・カンタベッラ著、アンドレア・アンティノーリ絵、創元社)を俳優のサヘル・ローズさんが評した。
死は遠い存在ではない
サヘルさんはイランで生まれ育った幼少期、戦争の傷跡が人々の記憶に残っており、死は突然現れる特別なものではなく、人々の暮らしの隣に静かに座っている存在だったという。
イランの人々は死を語ることを拒まず、亡くなった方の名前を口にし、思い出を語り、祈りを捧げる。死は終わりではなく、記憶の中で生き続けるものだと感じているという。
「あなたはどう思う?」と問いかける
本書に惹かれたのは、「死」を教えるのではなく、「死について一緒に考える」姿勢にある。世界中の子どもたちから寄せられた38の質問に、歴史や宗教、文化や哲学、ユーモアを交えながら、「あなたはどう思う?」と静かに問いかけてくる。
印象的なのは、世界にはさまざまな死者の送り方があることだ。ある国では黒をまとい、ある国では白をまとう。静かに祈る文化もあれば、音楽とともに送り出す地域もある。イランでは亡くなった方は白い布で包まれ、白は悲しみだけでなく、祈りや清らかさ、新たな旅立ちを表す色でもある。
大人こそ読んでほしい一冊
どの文化にも共通しているのは、「大切な人を忘れない」という願い。人は生まれた瞬間から死へ向かって歩いているが、「生きること」について語る機会はあっても、「死」について語る機会は少ないとサヘルさんは指摘する。
だからこそ、この本は子どもだけでなく、大人にこそ読んでほしい。死について語り合うことは、生きることを見つめ直すことにつながるからだ。小宮由訳、2750円。



