健康的な飲み物として世界的に抹茶の人気が高まる中、国内では茶道を伝える絵本が相次いで刊行され、保育園や幼稚園でも茶道を取り入れる動きが広がっている。伝統文化や礼儀作法を学べる茶道は、子どもたちに温かな和の心を育む場として注目されている。
『おちゃをどうぞ』で茶道の心を学ぶ
小学校入学前後の子どもたちが茶室で正座し、お茶をたてる様子を描いた絵本『おちゃをどうぞ』(小学館)は、茶道の道具や作法、そこに息づく「茶の湯」の心を丁寧に教える。作者の石崎綾子さんは大学で学んだ工芸を通じて茶道に興味を持ち、出産後に保育園で茶道を教えるようになった。コロナ禍で稽古ができなくなったことを機に絵本作りを思い立ち、2023年に子どもたちに茶道を広める合同会社「Kodomo茶道」を設立。今春から本格的に活動している。
石崎さんは「外国人よりも日本人の方が茶道に対して気後れしているのではないか」と語る。「子どもの頃に茶の湯との出合いになる本が身近にあるといいなと思った。1杯のお茶を誰かのためにたて、相手を思いやる心が伝われば」と話す。
『おちゃのえほん』と『ねこじたなのにお茶がすき』
男の子が家族のためにお茶をいれる『おちゃのえほん』(マイルスタッフ、作・まる、絵・かん)と、宗匠らしき「じいさま」が猫のために薄めでぬるめのお茶をたてる『ねこじたなのにお茶がすき』(淡交社、文・今江祥智、絵・ささめやゆき)は、茶道の核心を伝える。一度の出会いとその瞬間を大切にする「一期一会」、心身と空間を清らかにして穏やかな心で互いを思いやる「和敬清寂」といった茶の湯の心を、素朴な絵と文章で描き出す。
『お茶ができるまで』で製茶工程を学ぶ
茶道に興味を持ったら、写真絵本『お茶ができるまで』(岩崎書店、構成と文・宮崎祥子、写真・白松清之)もおすすめだ。青々とした茶畑から、どんな手間と職人技を経てお茶ができるのかを紹介。学んでから飲むお茶の味はまた違うはずだ。
世界のお茶文化を紹介『おちゃのじかん』
海外で抹茶の需要が高まり、昨年、抹茶を含む緑茶の輸出額は過去最高の721億円となった。抹茶に限らず、世界各地のお茶の文化についてユーモラスでカラフルな絵で教えてくれるのが『おちゃのじかん』(佼成出版社、土橋とし子著)だ。ストローで回し飲みするアルゼンチンのマテ茶、銀のポットでいれるモロッコのミントティー、道具や種類が豊富な台湾のお茶、スコーンなどと楽しむイギリスのアフタヌーン・ティー。さらには、ジャムをなめながら味わうロシアンティーや、スパイスと煮出すインドのチャイ……。最後は、どら焼きやおせんべいとともに楽しむ日本のお茶の時間になる。
まずは親子で絵本を楽しみ、一緒にお茶を飲んでみたい。人々が誰かとほっと一息つく時間を大切にしてきた世界中のお茶を囲む文化に思いが至るはずだ。



