書道家の武田双雲さん(35)の人生は25歳のときに一変します。取りたてて「やりたいこと」もなく、何となく生きてきたのに、母の書を見て鳥肌が立つほどの感動を体験。人間関係が煩わしくて、どこか冷めていた自分の性分まで変わってしまったといいます。
草食系男子だった過去
「競輪の予想紙記者をしているオヤジがとても〝熱い人〟でしてね。義理と人情、そして絆を大事にする。小さいときは、そんな濃い人間関係が暑苦しくてしょうがなかった。そのくせ、両親の言うことには素直に従う典型的な〝長男タイプ〟。やりたいことが特になく、何となく生きているような…いまで言う『草食系』でしたね」
書は3歳のころから、書道家である母に習っていた。だが、特段の興味があったわけではない。そんなことより、「早く遊びに行きたくてしょうがなかった」という。
上京と就職
束縛が嫌で、熊本から上京し、東京理科大の情報科学科に進んだものの、コンピューターの世界にも、あまり関心はもてない。就職したNTTでは法人営業を担当したが、これも「何となく」。25歳までは、書道家とは無縁の人生を歩んでいたのである。
感情の爆発
ところが、「感情の爆発」が突然、やってきた。久しぶりに九州の実家に帰省し、襖(ふすま)や掛け軸に書かれていた母の書を見た。見慣れているはずなのに、魂が揺さぶられるような衝撃を受けたのである。
「いつまで見ていてもまったく飽きない。ぐんぐん引き込まれました。感動が降ってきたようでしたね」



