三洋化成工業は、将来の月面建設機械に不可欠な要素技術として、超高真空環境に対応した油圧アクチュエータと動作液を開発し、油圧駆動アームの実証に着手することを6月15日に発表した。同社は、地上で広く使用されている油圧技術を月面でも活用できるよう、出力特性の評価や宇宙環境試験を通じて技術的知見の蓄積を進める方針だ。
宇宙戦略基金の採択と連携体制
今回の取り組みは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公募する「宇宙戦略基金(第二期)」の技術開発テーマの一つである『SX 中核領域発展研究「SX-ARK」(運動と制御)』において、三洋化成工業が代表機関となり、立命館大学および東京大学との連携で提案した技術課題「月面土木作業に適した超高真空用油圧駆動アームの開発」が採択されたことによるものだ。非宇宙分野で培われた技術の応用可能性を検討し、将来の月面土木作業に必要となる要素技術の確立を目指す。
月面探査拡大に伴う技術課題
この技術開発の背景には、月面探査の拡大に伴い、月面資源の活用や月面拠点の構築に向けた検討が本格化していることがある。三洋化成工業は、「月面表層を覆うレゴリス(岩石が砕けてできた砂状あるいは粉末状の物質)を大量に扱う作業が必要になる」と指摘する。しかし、月面ロボットや宇宙機で主に用いられている電動アクチュエータは、高い負荷を要する作業において出力面で課題が残る可能性があると見ている。
一方、現在地上の建設機械で広く用いられている油圧技術は、高出力を発揮できる特長があるが、大気圧環境を前提とした機構であるため、「高真空環境での使用は困難」(同社)だという。月面での土木作業への適用を見据えた建設機械システムの開発が求められることから、三洋化成工業らは前述の技術課題の解決に向けた研究を進めていく。



