太陽がエネルギーを生み出す仕組みを地上で再現し、「夢のエネルギー」と期待される核融合の研究開発が、新たな局面を迎えている。科学的実証を目指して共同研究を進めてきた「国際協力」から、実用化の主導権を各国や企業が狙う「競争」の時代へと移りつつある。国内外で加速する発電実証に向けた動きが、長らく「逃げ水」と言われてきた次世代エネルギーの実用化に今度こそつながるかもしれない。
ITERを待たず
クリーンで安全なエネルギーとされる核融合への期待は、地政学リスクの緊迫化や脱炭素への要請を受け、近年高まっている。核融合が生み出すエネルギーを科学的に実証する取り組みとしては、国際熱核融合実験炉「ITER」が知られる。日本と欧州、米国、ロシア、韓国、中国、インドの7極が参加する国際プロジェクトだが、計画は難航。運転開始は元の計画より約9年遅れ、2034年となる見通しだ。
民間主導の動き
その一方で目立ち始めたのが、米国の民間企業を中心とした、核融合による発電の実用化を目指す動きだ。背景には、比較的高い温度で電気抵抗をゼロにできる高温超電導技術の進展がある。この技術により、核融合に必要なプラズマをより強い磁場で閉じ込めることができ、炉の小型化や建設コスト低減が期待できる。
量子科学技術研究開発機構(QST)六ケ所フュージョンエネルギー研究所の坂本宜照(よしてる)次長は「20年頃からスタートアップが高温超電導を使った核融合炉の構想を打ち出し始めた」と指摘する。



