ハコフグを模した帽子に、〝ギョ〟っとするほどの高い声と懸命な身ぶり。お魚らいふ・コーディネーター、さかなクンのユニークな外見と素直な人柄には、大人も子供も癒やされます。魚や海のイベントにひっぱりだこの人気者ですが、現在の「魚の伝道師」になるまでには紆余曲折がありました。
あこがれの職場
「将来は、東京水産大学(現・東京海洋大学)に入り、大好きな絵を描き、多くの人にお魚の魅力を伝えるために図鑑をつくりたい」と、小学校の卒業文集に書いた。幼いころから絵が大好きで、小学校2年生の時、友達が描いたタコの絵を見てから海の生き物に夢中になり、魚屋や水族館、漁港に出掛け、出合った感動を胸に描きつづけた。
図鑑を読み込み、魚の知識は専門家並み。あだ名は「サカナ博士」や「サカナさん」で、理想の仕事に就けると信じていた。しかし、のんびりした性格が災いし、大学入試は勉強が出遅れて、結局、受けなかった。
挫折と予感
高校卒業後は2年制の動物専門学校に入学。1年目は東海大学海洋科学博物館(静岡市)で1カ月の実地研修を受ける。あこがれの場所ともいえたが、「将来の職場になるかも」という予感は1週間でしぼんだ。
水槽のイワシにえさをまいた時のこと。量が多すぎて、えさはイワシが食べ切る前に沈み、温厚で知られる飼育員から「そんなやり方があるか」と怒鳴られた。「僕はドジだ…」。それに水族館では覚えることが多すぎる。水温を適正に保つため、入り組んだ配管の位置や仕組みも覚えなければならない。コンピューターの操作も苦手だった。



