高級腕時計の世界では、製造本数や販売地域、販売時期が限られた「レアな」時計がしばしば登場します。本連載では、数多くの腕時計に精通したプロフェッショナルが厳選する、希少な腕時計を写真とともにご紹介します。
カルティエ ROADSTER CHRONOGRAPH XL Ref.W62020X6
今回は、現行モデルからヴィンテージモデルまで幅広い知識を持つロデオドライブ横浜関内店の中嶋研一さんに、「カルティエ ROADSTER CHRONOGRAPH XL Ref.W62020X6」を解説してもらいました。
価格は68万円(ロデオドライブ店頭小売価格、取材時)。コンディションなどにより価格は変動します。
どんな腕時計?
2002年に当時のトレンド「デカ厚」で登場した、カルティエの男性的なスポーツモデルです。最大の特徴は、ロードスターの名の通り、1950~1960年代のスポーツカーをイメージした高いデザイン性にあります。
力強いトーチュ型ケースの裏蓋にはパワーバルジ(ボンネットの膨らみ)のような加工が施され、文字盤のデイト表示へと伸びる日付拡大レンズにはヘッドライトカバーを模した流線型が採用されています。ただし、日付拡大レンズが長く伸びたため、3時位置のクロノグラフ秒針が見づらくなっています。時計メーカーとしてはありえない設計ですが、機能性よりデザイン性を優先した点に、ジュエリーメーカーであるカルティエらしさが表れています。
レアな理由
中嶋さんによると、ラグのビスや太い針、夜光インデックスなど、ドレスウォッチのトーチュがここまで変貌したことに当時驚かされたそうです。当時のカルティエは現在ほど生産数が多くなく、現在の入荷量は半年に1本程度。常に在庫があるわけではありませんが、クロノグラフ機能付きのカルティエ人気モデルが60万円台から購入できるのは魅力的です。
ただし、「Watches & Wonders Geneva 2026」でロードスターの新モデルが発表されれば、再評価され入手難易度や価格が上昇する可能性が高いと中嶋さんは指摘します。その意味で、今が最も狙い目のモデルと言えるでしょう。
プロフィール
安藤康之:フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリー活動。車やバイク、競馬、グルメなど幅広いジャンルで活動中。
中嶋研一:ロデオドライブ横浜関内店アドバイザー。約20年にわたり多くの名機に触れてきた時計専門家。現行モデルのトレンドからヴィンテージまで深い知識を持ち、誠実な提案で定評。
ロデオドライブ:https://www.rodeodrive.co.jp/shop



