モバイルバッテリー市場の課題とアンカーの対応
モバイルバッテリー市場は、発火事故の多発や航空機内での使用規制強化により揺れている。そんな中、市場シェア首位のアンカー・ジャパンは、2026年6月にブランド再編と新ロゴマークを発表。日本での累計出荷台数1億台を記念し、新たな戦略を打ち出した。
同社は過去に製品リコールや発火事故に伴う自主回収を経験したが、その失敗と真摯に向き合い、2026年2月には「つくる」「つかう」「すてる」というライフサイクル全体でリチウムイオン電池搭載製品の安全性・品質を見直す包括的取り組みを発表。信頼性向上に努め、製品責任を果たす姿勢で業界をリードしている。
新バッテリーセル「ネオリチウムイオンバッテリー」の投入
2026年5月の新製品発表会「Anker Power Conference 2026」では、「つくる」フェーズの新しい答えとして、新バッテリーセル「ネオリチウムイオンバッテリー」を投入。発表会後、アンカー・ジャパン代表取締役CEOの猿渡歩氏に業界動向や同社の戦略を聞いた。猿渡氏は2014年の日本事業部門創設から参画し、同社が参入したほぼ全カテゴリーでオンラインシェア1位を達成する原動力となった人物だ。インタビューはバッテリー戦略の今後、災害対応、ブランド再編まで多岐にわたった。
業界の背景:発火事故の増加要因
リチウムイオン電池の発火リスクは、アンカーが取り組みを始める前から業界で指摘されていた。1991年にソニー・エナジー・テックが初めて商品化して以降、各メーカーは事故防止に努めてきたが、2013年にはボーイング787ドリームライナーのバッテリー発火事故で全50機が運航停止に。2016~2017年にはサムスンGalaxy Note 7の発火事故で306万台がリコールされた。
最近の事故急増には複数の要因が絡む。モバイルバッテリーの一般化と利用者増、大容量化によるエネルギー密度の向上、そして無責任な粗悪品を製造する新興メーカーの増加などが挙げられる。
「セルがよければ安全」というわけではない。安全性はセルの素材だけでなく、製品全体の設計・製造・使用・廃棄の全プロセスで実現されるものであり、アンカーはその点を重視している。



