発火事故と航空規制で揺れるモバイルバッテリー市場──首位アンカーが選んだ「One Anker」戦略
発火事故と航空規制で揺れるモバイルバッテリー市場──アンカーの一手

日本での累計出荷台数1億台を目前に控え、アンカー・ジャパンは「Anker Power Conference 2026」でブランド再編と新ロゴマークを発表した。代表取締役CEOの猿渡歩氏は、発火事故や航空規制で揺れるモバイルバッテリー市場において、新たな戦略を示した。

被災地支援のための業界横断協力

アンカーは通信事業者4社と連携し、被災地物流のラストワンマイルを支援する取り組みを進めている。猿渡氏は「うちの倉庫は、おそらく日本で一番モバイルバッテリーの在庫を持っている会社。大阪にも倉庫を増やすなど分散している」と説明。協定先には一定数の在庫を確保してもらい、有事には優先的に追加供給する「ハイブリッド型」を採用する。

「全部渡してしまうと被災地や中継地も在庫管理が大変。有事に物流が遮断されると送れなくなるので、両方を組み合わせる。これはお金儲けというより、半分はメーカーとしての社会貢献的な意味合いでやっている」と猿渡氏は語る。提供したバッテリーの扱い(譲渡か返却か)は各自治体の判断に委ねられるため、自治体関係者は平時から運用ルールを決めておくことが望ましい。

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「One Anker」へのブランド統合

充電器からスタートしたアンカーは、現在オーディオ、スマートホーム、ポータブル電源まで手がける総合デジタル製品メーカーへと成長した。発表会では、ブランド戦略の大幅な転換が明らかにされた。

これまで「Soundcore」(オーディオ&ビジュアル)や「Eufy」(スマートホーム)などブランドごとに分けていた製品群を、すべて「Anker」に集約する「One Anker」戦略を年内をめどに進める。猿渡氏は「私が入社したころは社員が数人しかいなかった。オーディオや家電を始めるにあたり、当時はブランドごとにしっかり作ったほうがいいという仮説があった。昔は2000〜3000円の商品が多かったので、コスパのよいブランドという入り口から分けていった」と振り返る。

しかし状況は変化した。「いまは低価格帯から高額帯まで、多くのカテゴリでシェアトップを取っている。アフターサポートをアンカーが一体で行うという保証の意味でも、One Ankerでいく」と猿渡氏は強調する。

統合の背景には認知度のばらつきという実務的な課題もある。「Eufyはロボット掃除機でシェア1位を取れているのに、ブランドとしての認知度が低い。おそらく日本人にはブランド名の読みづらさの問題もある。だが、アンカーの掃除機としては認知されているので、アンカーに寄せたほうが伝わる」と判断したという。

ポータブル電源や蓄電池も成長エンジンに

アンカーはポータブル電源や蓄電池も今後の成長エンジンと位置付ける。モバイルバッテリー市場が発火事故や航空規制の影響を受ける中、新たな分野への展開を加速する。

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