AIエージェント「Genspark」の真価は資料作成だけではない、業務の根底を変える
Gensparkが変える業務の根底、資料作成だけではない真価

スライドのクオリティが商談の成否を左右することは珍しくない。しかし、AIエージェント「Genspark」の真価は、資料作成の領域にとどまらない。情報収集、分析、メール送信を自動化し、自律的にタスクを実行する能力こそが、ビジネスパーソンの働き方を根本から変えようとしている。

70以上のモデルから最適なAIを自動選択

Gensparkがユーザー数を伸ばしている背景について、同社エンタープライズ営業リーダーの中島隆行氏は「AIは加速度的に進化しているが、多くの人はその速さについていけていない。そこに問題がある」と指摘する。ビジネスパーソンの間でも、AIと聞いてチャットを思い浮かべる人から、自律的なエージェント機能を想像できる人まで、理解度に差がある。このギャップが組織全体の生産性向上を妨げるという。

中島氏は「われわれは『翻訳者』でありたい。AIを使うための知識やトレーニングを前提とせず、誰でも使える形で提供している」と語る。ユーザーが指示を入力すれば、Gensparkは70以上のモデルから最適なものを自動選択し、作業を実行する。どのAIを使うか、どう組み合わせるかはシステム側が担う。

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中島氏は「これまではAIに細かく指示を出す必要があったが、これからはAIに『任せる』ことになる。AIが指示を理解し、複雑な業務をタスクに分解して実行する。人間の仕事の進め方そのものが変わる」と展望を語る。

Gensparkの6つの注目機能

1. 意思決定さえ不要に

Gensparkは2023年にシリコンバレーで創業したテック企業で、約2年でユニコーン(評価額10億ドル以上)に成長した。具体的な活用例として、イベント運営企業を挙げよう。イベントの告知資料を作成する際、人間が集めた情報をGensparkに入力し簡単な指示をするだけで、質の高い資料が完成する。人間がPowerPointに触れる必要はない。

しかし、その前段階からGensparkは活用できる。「会場候補の調査」「条件に合う施設の選定」「問い合わせメールの作成・送信」のすべてを代替する。さらに、会場決定後に周辺情報や過去の来場データを集め、資料に落とし込むことも可能だ。意思決定さえGensparkに委ねることもできる。

中島氏は「これは働き方の前提が変わる話。手を動かしていた業務は自動化され、人は他者と深く議論したり、意思決定のために思考したりできるようになる」と説明する。当初は驚くが、当たり前になれば「インフラ」と呼ばれるかもしれない。Gensparkが目指すのは、蛇口をひねれば水が出るように、指示すれば業務が終わる状態だ。

AIがインフラになったとき、企業はどう価値を生むか

「企業の一番の資産は人材と暗黙知を含む固有のデータ。しかし、それが分断されて真価を発揮できていない企業が多い。AIエージェントは人とデータをつなぎ直し、使える形にする装置だ。人の知識を共有し横展開し、さらに発展させることができる」と中島氏は語る。企業の価値創造には、Gensparkをインフラとして導入することが近道かもしれない。

船井総合研究所では経営者が率先して使う

船井総合研究所の代表取締役社長・真貝大介氏は「企業におけるAI活用は、情報システム部門に任せるのではなく、経営者自身が主体的に関わるべきテーマだ。新しいツールが出れば必ず触るようにしている」と語る。

Gensparkに注目した理由は「従来の生成AIに比べ役割が一段進んでいる」からだ。従来のAIはアイデア整理が中心だったが、Gensparkは「実行」まで踏み込む。単に答えを得るだけでなく、業務として具体化できる点が大きな違いだ。

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導入後、資料作成やリサーチ、文書作成で時間削減効果が確認された。社員一人当たり月数時間だが、全社では数千時間規模になる。しかし真貝氏は「削減時間そのものよりも、そこから新たに生まれる価値が大きい。一度出したアウトプットが二次利用、三次利用され、個人の成果が組織の資産として蓄積される。この変化は大きい」と強調する。

「My Genspark」から「Our Genspark」への転換だ。属人化していた知識やノウハウをデジタル化し、再利用可能な形に変えられる。中小企業にとっても、人手不足の中で生産性を高めるためにはAI活用が必須になるという。

「大切なのは、あらゆる情報が集まる経営者自身が率先してAIを使うこと。自身の人脈や知見などのアナログ資産をAIで業務に組み込み、全社へ波及させる。その変換の度合いが組織の競争力を決めるカギになる」と真貝氏は締めくくった。