アップルがAIを再構築した理由:Googleと協業し「誰もが使うエージェント」競争に挑む
アップルがAI再構築、Googleと協業でエージェント競争へ

ビジネス アップルはなぜAIを"作り直した"のか――Googleと組んで挑む、「誰もが使うエージェント」競争の勝算 11分で読める 公開日時:2026/06/15 13:30

ティム・クックCEO、最後の基調講演

WWDCの基調講演に登壇したティム・クックCEO。9月1日にCEOを退くため、同職としては最後の登壇になる(写真:筆者撮影) 西田 宗千佳 フリージャーナリスト フォロー

一方で、ChatGPTが「AIのもたらす本物のインパクト」か、というと、そうではない。検索や話し相手としてのAIは、AIによる変化の入り口でしかない。「エージェンティックAI」こそが、本物の変化をもたらす要素である。AIと対話して作業を「任せる」というスタイルは、我々とコンピューターの関係を大きく変えてしまう。

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多くの企業がその方向に向かって走り始めており、Googleも次世代OS「Android 17」でエージェンティックAI要素を取り入れてくる。そういう意味では、アップルとGoogleは同じ年に同じ世代で、本格的な変更に着手することになる。

エージェンティックAIの競争激化

エージェンティックAI要素は、OpenAIの「Codex」、Anthropicの「Claude Cowork」などで実現されつつあり、マイクロソフトも「Copilot」の改良に取り組んでいる。中国系の「Manus」「Genspark」も、一歩先にエージェンティックAIを押し出している。

これら企業がまず、エンジニア向けの「ソフト開発」で価値を見出し、汎用性を高めてあらゆる人が使うサービスへと拡大を始めている……と考えればいいだろう。

多くの企業を悩ませる「AIコスト」

AIの賢さで先頭を走っているのがOpenAIやAnthropicであるのは間違いない。それらのサービスを使えば、どのPCを使っていても、どのスマホを使っていてもエージェンティックAIの価値を活かせる。だとすれば、アップルのAIを使う意味はどこにあるのだろうか?

答えは2つある。

連携の価値

1つは「連携」。アップルはiPhone・Mac・iPad・Apple Watchと、多くの機器で同じApple Intelligenceを使う。今後はスマートホーム機器でも、「音声だけで多数の機器を連携させる」要素が使いやすくなる。複雑だったスマートホーム連携が、自然文でやりたいことを指示するだけで設定できるようになるからだ。プライバシーから機器連携まで、一貫した価値を自社製品の中で担保するのは重要なことだ。

コストの壁

2つ目は「コスト」にある。

確かに、OpenAIやAnthropicのサービスは優れている。しかし、本格的にエージェンティックAIを使うには、無料プランではなく有料プランへの加入が必須だ。しかも毎月20ドル(約3200円)のプランでは制約が大きく、毎月200ドル(約3万2000円)のプランが望ましい。はっきり言って、有料プランでエージェンティックAI的サービスを使い始めている人と、無料プランで「AIに相談」レベルの使い方をしている人とでは、見えている世界が大きく違ってきているほどだ。

とはいえ、AIに毎月20ドル支払える人は限られている。200ドルとなるとさらに少数だろう。

これだけのコストがかかるのは、エージェンティックAIでは膨大な処理を必要とするためであり、その分、クラウドを利用するためのコストも高くなるからだ。

次ページが続きます:【コストに見合う結果を得られるのか】

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