筆記試験もキャンパスもない「謎の大学」
アメリカ・サンフランシスコで2014年に誕生したミネルバ大学が、世界中の受験生から注目を集めている。この大学には筆記試験がなく、固定された校舎も存在しない。授業はすべてオンラインで行われ、学生は4年間で世界7都市を移動しながら学ぶ。合格率はわずか1〜2%で、ハーバード大学を上回る難関校として知られている。
東大生作家の西岡壱誠氏は、著書『へんな学部 令和ニッポンのユニーク学問最前線』(笠間書院)の中で、この大学の特徴を詳しく紹介している。西岡氏によれば、ミネルバ大学は「21世紀の高等教育に革命を起こそうとする、まったく新しい形」であり、従来の大学の常識を次々と覆しているという。
日本の大学にも広がる「個性派」の波
日本でも、大学の個性化が進んでいる。2024年度入試では、私立大学の約2割の受験生が総合型選抜(旧AO入試)で入学している。この選抜方式は、学力試験だけでなく、志望理由書や小論文、面接、部活や課外活動の実績などを総合的に評価する。大学が求める学生像に合った人材を選ぶため、「マッチング入試」とも呼ばれる。
個性的な学部と総合型選抜の相性は非常に良い。例えば、恐竜学部を志望する高校生は、幼い頃から恐竜に熱中し、博物館通いや化石収集、関連書籍の読破といった経験を持っていることが多い。こうした熱意や経験は、偏差値では測れない。京都精華大学のマンガ学部では自作のマンガ作品をポートフォリオとして提出でき、桜美林大学の航空学群では飛行機への憧れやパイロット志望が評価される。危機管理学部では防災活動やボランティア経験が武器となる。
ミネルバ大学の革新的な教育スタイル
ミネルバ大学の教育スタイルは、さらに革新的だ。授業はすべてオンラインで、少人数のディスカッション形式を採用。筆記試験はなく、創造性と思考力を問う独自の入試が行われる。「世界中から集まった学生が、世界中を教室にして学ぶ」というコンセプトのもと、グローバルリーダーの育成を目指している。
日本からの進学者はまだ少数だが、その教育スタイルは世界中の教育関係者から注目を集めている。一方、東京大学も従来のモデルを変えようと動き始めており、推薦入試の導入や2027年には新学部「UTokyo College of Design」を開設する予定だ。しかし、ミネルバ大学の革新性は、これらの動きをさらに上回っていると西岡氏は指摘する。



