国内屈指のユニコーン企業として知られるニュースアプリ運営のスマートニュースが、アメリカ事業の黒字化を達成した。2012年設立の同社は、2021年9月にシリーズFラウンドで251億円を調達し、未公開企業としての時価総額は2100億円を超えた。しかし、コロナ禍の巣ごもりバブルが弾け、2023年初頭にグローバルで大規模な人員リストラを実施。その後、新たな広告プロダクトの展開やNTTドコモとの業務提携などが寄与し、2023年12月期の連結業績は黒字に転じた。そして今回、アメリカ事業も黒字化を果たした。
アメリカ事業黒字化の要因
スマートニュースのChief Operating Officer(COO)任宜氏は、アメリカ事業が2025年第3四半期(7~9月期)に初めて黒字化し、2025年通期でも営業黒字を確保した要因について、「広告事業の収益性向上と組織・開発体制の抜本的な効率化」を挙げる。
広告事業の収益性向上
過去のユーザー数拡大を最優先する方針から、広告プロダクトの収益化へ注力する方針に切り替えた。具体的には、米国市場に多数存在するDSP(Demand-Side Platform)やSSP(Supply-Side Platform)と呼ばれるオープンなアドネットワークとの接続を強化し、リアルタイム入札技術を最適化。これにより、ゼネラル・モーターズ、フォード、P&Gなど大手広告主の単価の高い広告を効率的に配信できるようになった。また、自社開発のファーストパーティー広告の比率を高め、動画広告フォーマットを導入したこともCPM(広告単価)の向上に貢献した。
組織・開発体制の効率化
日米で分断されていた組織を見直し、グローバルで統一した組織とプロダクト基盤を構築。以前は日本と米国で類似機能を別々に開発し、いわゆる「車輪の再発明」が発生して開発効率が悪化していたが、国ごとではなく機能別に日米を横断管理するクロスファンクション組織へ変更。共通基盤の上で日米の知見を相互に活用する体制を整えた。
今後の展望
同社は2023年初頭の全社的なレイオフを経て、生成AIの普及に伴う「ゼロクリック問題」への対応や、新規株式公開(IPO)に向けた準備を進めている。10月の上場も報じられる中、再成長戦略の行方が注目される。



