京都発「ゆなすみ」ペアが冬季五輪へ 官民連携リンクが夢を支える
京都「ゆなすみ」ペアが冬季五輪へ 官民リンクが支え

京都発のフィギュアペア「ゆなすみ」が冬季五輪へ 官民連携リンクが夢を後押し

ミラノ・コルティナ冬季オリンピックのフィギュアスケートペア競技に、京都を拠点に活動する長岡柚奈選手(20)と森口澄士選手(24)のペア「ゆなすみ」が出場することが決まった。練習場所の確保が難しいペア競技において、2019年に官民連携で整備された京都府宇治市の通年リンク「木下アカデミー京都アイスアリーナ」が、二人の五輪への道を力強く支えている。

初出場にわくわく 二人の意気込み

1月16日、宇治市のリンクで公開練習に臨んだ二人は、スロージャンプやリフトなどの技を入念に確認した。長岡選手は「初出場で全てが初めての体験です。緊張感はなく、むしろわくわくしています」と笑顔で語り、森口選手も「五輪に向けた全てが楽しみです。自分たちを信じられる練習を積み、二人でサポートし合いたい」と意気込みを表明した。

練習環境の厳しさとリンク整備の背景

フィギュアスケートのペア競技は、シングルに比べて練習環境が厳しい側面がある。ペア特有のダイナミックな技は危険を伴い、広いリンクを貸し切る必要があるためだ。競技人口や指導者が少ないこともあり、海外を拠点とするトップ選手も少なくない。

国内ではスケート場の減少が続いており、文部科学省のデータによると、全国の屋内スケート場は1985年度のピーク時268施設から2021年度には99施設まで減少。冬のレジャーの多様化や少子化、高額な維持費などが背景にあるとみられる。京都府内でも2005年に京都市伏見区のスケート場が閉鎖され、通年リンクが一時ゼロとなり、有望選手の流出を招いた。

官民連携で誕生した練習拠点

転機が訪れたのは、フィギュアスケート人気が高まっていた2019年。京都府が造成した土地を府スケート連盟などでつくる一般社団法人「京都スケート」に提供し、民間企業が建設と運営を担う形で「木下アカデミー京都アイスアリーナ」がオープンした。翌年には国際大会で活躍できる選手を育成する「木下スケートアカデミー」が発足し、住宅大手の木下工務店などを傘下に持つ「木下グループ」がリンクを貸し切り、浜田美栄さんや五輪出場経験のあるキャシー・リードさんらが指導にあたるなど、練習環境が充実した。

国際規格のメインリンクに加え、サブリンクやバレエ練習ができる施設も併設され、「ゆなすみ」は2023年にペアを結成してからここで練習を重ねてきた。長岡選手は「貸し切りがないと練習できず、こうした環境があるのは本当にありがたい」と感謝し、森口選手も「サポートしてくださる方々のおかげでペアの練習ができ、大きな感謝がある」と語る。

史上初の快挙と地域への期待

今回の五輪では、カナダが拠点で「りくりゅう」の愛称で知られる三浦璃来選手と木原龍一選手も出場し、日本から2組のペア出場は史上初の快挙となる。このリンクでは、吉田唄菜選手と森田真沙也選手のアイスダンスペアも練習を積み、団体戦に出場した。森口選手と森田選手はともに京都市出身で、地元からの選手輩出が続いている。

サブリンクでは一般向けのスケート教室も開かれており、将来の五輪選手誕生への期待も高まる。京都府文化生活部の硲伸二副部長は「京都のリンクから五輪選手が出場してうれしい。フィギュアスケートと言えば京都と言われるくらい、リンクが一大拠点になってほしい」と期待を込めて語っている。

官民連携で整備された練習環境が、厳しい競技環境の中で選手の夢を支え、地域のスポーツ振興にも貢献していることが明らかになった。冬季五輪での「ゆなすみ」の活躍に、関係者やファンの注目が集まっている。