視点・解説:宇野昌磨、本田真凜の挑戦 アイスダンスを読み解く四つのポイント
2026年5月22日、フィギュアスケートの男子シングルで五輪2大会連続メダルを獲得した宇野昌磨(28)と、2016年世界ジュニア選手権で優勝した本田真凜(24)が、アイスダンスでチームを結成し、オリンピック出場を目指すことをSNSで発表した。この発表はスケート界に大きな衝撃を与えた。宇野と本田はそれぞれシングルで輝かしい実績を持つが、今回新たな種目に挑戦する理由とその展望について、四つのポイントから解説する。
①アイスダンスとペアの違い
フィギュアスケートには、シングル種目のほかに、男女2人1組で滑る「ペア」と「アイスダンス」のカップル種目がある。アイスダンスは「氷上の社交ダンス」とも呼ばれ、2人の同調したステップや小刻みなターンが魅力で、音楽に合わせたダンスの完成度が求められる。一方、ペアはスロージャンプやリフトなどのアクロバティックな技が特徴で、3回転ジャンプなども含まれる。アイスダンスでは1回転半以上のジャンプや頭より高いリフトは禁止されており、アクロバティックな要素がない分、音楽との一体感や2人の協調性がより重要となる。また、スケート靴のブレードも異なり、アイスダンス用はより細く、ステップの精度を高める設計となっている。
②苦戦が続く日本勢
アイスダンスは欧州勢が強く、日本ではまだ歴史が浅い。日本勢は世界選手権でのメダル獲得がなく、五輪出場も限られている。最近では吉田唄菜・森田真沙也組が2026年ミラノ・コルティナ五輪に出場したが、入賞は果たせなかった。技術面だけでなく、音楽表現やダンススキルにおいても欧米勢に差をつけられており、日本スケート連盟も強化に乗り出しているが、まだ道半ばである。
③続々とアイスダンスに参戦するトップスケーター
近年、シングルで成功したスケーターがアイスダンスに転向するケースが増えている。例えば、カナダの元世界王者パトリック・チャンもアイスダンスに挑戦し、注目を集めた。宇野と本田の参戦は、この流れをさらに加速させる可能性がある。2人はシングルでの経験を生かし、特にステップやスピン技術でアドバンテージを持つが、アイスダンス特有のリフトやパートナーとの呼吸合わせは新たな課題となる。
④アイスダンスの難しさとは
アイスダンスは、単に滑る技術だけでなく、音楽の解釈や表現力、2人の一体感が評価される。特にリズムダンスとフリーダンスの2つのプログラムでは、異なるリズムやテーマに対応する必要がある。また、パートナーとの信頼関係が不可欠で、練習時間も膨大になる。宇野と本田はこれまで別々の種目で活動してきたため、一からのチーム作りとなる。年齢的にも28歳と24歳と、アイスダンスとしては遅いスタートだが、2人の才能と努力次第で、日本のアイスダンス界に新たな風を吹き込むことが期待される。



