重要物資の国内生産強化を求める声が78%に、食料自給率向上や外国人材受け入れにも注目
2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、各国で医療品の不足が深刻化し、世界的な半導体不足も自動車の減産など大きな影響を及ぼしました。これを受けて、2022年に経済安全保障推進法が成立し、政府は安定的な供給が滞れば社会・経済への影響が大きい半導体や肥料、蓄電池、レアアース(希土類)を含む重要鉱物などを「特定重要物資」として指定しています。
国内生産強化が最優先、リサイクルや技術開発も半数超え
こうした重要物資の調達について、優先的に取り組むべき対策を複数回答で尋ねたところ、「国内での生産力を強化する」が78%で最も多く支持されました。次いで、「二次利用できる物資のリサイクルを促進する」が55%、「物資への依存度を下げるための技術開発を進める」が52%と、いずれも半数を超える結果となりました。また、「海外の調達先を分散させる」との回答も37%挙がり、供給網の多様化への期待も示されています。
政府は国内での半導体生産体制の拡充を後押ししており、台湾積体電路製造(TSMC)が2024年12月に熊本第1工場で量産を開始し、ラピダスも2027年に量産開始を計画しています。レアアースの確保に向けては、南鳥島沖で海洋研究開発機構などがレアアースを含む泥の試掘に成功しましたが、採掘コストの高さが課題となっています。
エネルギー政策では再エネと新技術に期待、原発再稼働には男女差
AI技術の進展に伴うデータセンターの増加で、電力需要の大幅な伸びが見込まれる中、発電量を増やすための対策について尋ねました。複数回答では、「太陽光や地熱などの再生可能エネルギーをさらに活用する」と「新しい発電技術の開発を進める」がともに61%で並びました。以下、「規制基準を満たした原子力発電所を再稼働させる」が39%、「原子力発電所の新増設や建て替えを進める」が16%、「火力発電所を増やす」が9%と続きました。
男女別の回答では、「再生可能エネルギーの活用」は女性の67%が男性の54%を上回り、「原発の再稼働」は男性の50%が女性の29%を大きく上回るなど、性差が顕著に表れました。政府のエネルギー基本計画では、2040年度までに電力需要の最大2割増を見込み、再生エネルギーと原子力の脱炭素電源を最大限活用する方針が明記されています。
食料自給率向上を求める声が9割超、農業人材増加やスマート農業に期待
日本の2024年度の食料自給率はカロリーベースで38%であり、政府は2030年度までに45%に引き上げる目標を掲げています。この目標について、「妥当だ」が54%、「さらに高い自給率を目指すべきだ」が40%で、合わせて9割超が現状より自給率を高めるべきと考えています。「自給率を引き上げる必要はない」は4%にとどまりました。
食料自給率向上のための効果的な対策では、「農業に携わる人を増やす」が60%で最多となり、高齢化が進む農業の担い手確保への関心の高さが示されました。次いで、「ロボット技術の導入などで農産物の生産量を増やす」が56%で、政府が推進するスマート農業への期待が反映されています。その他、「耕作放棄地を減らし、農地を有効活用する」が55%、「食品ロスを減らし、輸入量を減らす」が47%などが続きました。
外国人材受け入れに8割強が賛成、移民受け入れには賛否分かれる
人口減少が進む中での経済成長に向け、外国人材の受け入れ方について尋ねたところ、「専門的な知識や技術を持った人材を中心に受け入れる」が39%で最多でした。これに「人手不足の業種で受け入れる」の27%と「知識・技術や業種にかかわらず幅広く受け入れる」の17%を合わせると、8割強が何らかの形で外国人材を受け入れることに賛成しています。「外国人材を増やす必要はない」は14%でした。
専門的な知識や技術を持つ外国人材の積極的な受け入れについて、待遇や環境整備を進めることへの賛成は72%で、反対の27%を大きく上回りました。一方、定住を前提とした「移民」の受け入れについては、賛成が42%、反対が57%と意見が分かれ、年代別では18~39歳で反対が63%と高くなる傾向が見られました。
これらの結果から、重要物資の国内生産強化への強い要望とともに、食料自給率向上やエネルギー政策、外国人材受け入れなど、日本の持続可能な成長に向けた多角的な課題に対する世論の動向が浮き彫りになりました。



