千葉県市川市長の発言で浮上した政令指定都市構想、松戸市との合併議論が本格化へ
千葉県市川市長発言で浮上した政令指定都市構想、松戸市との合併議論が本格化へ

政令指定都市構想がにわかに浮上

千葉県市川市の田中甲市長が、隣接する松戸市との合併による政令指定都市移行構想を4月に表明した。これを受け、松戸市の松戸隆政市長も「個人的には魅力的な街になる」と一定の理解を示し、両市長が選挙公約に掲げた「政令市実現」に向けた議論がにわかに活発化している。

両市長の思いが重なる

田中市長は4月21日の就任記者会見で、中核市への移行を経て将来的に政令市を目指す考えを明らかにし、「現段階では(合併先として)松戸市に働きかけたい」と発言。さらに、「京葉、東葛地域での調整を考えた場合、100万都市で広域的な住民サービスを充実させたい」と述べた。一方、松戸市長は翌日の会見で「いろんな人の意見を聞きながら考えるべきだ」としつつ、「合併して100万都市になれば非常に魅力的な街になる」と個人的な見解を示した。

両市長は選挙公約で「政令市の実現」を掲げていた。田中市長は「中核市移行後、近隣市との合併で千葉県2番目の政令市に」、松戸市長は「近隣市との連携を深め、将来的に松戸市を中心とした政令市を」とそれぞれビラに記しており、100万都市構想で思いが重なる部分がある。

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人口要件と周辺自治体の状況

政令指定都市の人口要件は地方自治法で50万人以上とされるが、実際には70万人以上が目安。市川市と松戸市の人口は各約50万人で、合併には近隣市との統合が必要となる。周辺自治体の人口(4月1日現在)は、流山市約22万人、柏市約44万人、鎌ケ谷市約11万人、船橋市約65万人、浦安市約17万人。合併の組み合わせ次第で新たな都市の姿が変わる。

両市は2024年10月に「行政パートナー協定」を締結し、広域的な取り組みを進める姿勢を示していた。当時、近隣市の幹部は「なぜ2市だけの協定か」と疑問視していたが、今回の田中市長の発言を受け、「やはりそういうことだったのか」と両市の関係強化を予想する。

政令市の現状と比較

現在、全国に20ある政令指定都市。仮に市川市と松戸市が合併した場合、人口約100万人、面積118平方キロメートルとなる。千葉市(人口約98万人、面積272平方キロメートル)と比較すると、人口でわずかに上回るが、面積は約43%の規模となる。

中核市と政令市の違い

政令指定都市は「指定都市」とも呼ばれ、中核市と同様に大都市制度の一つ。道府県と同等の行財政能力が求められ、市域を複数の行政区に分け、区役所で住民票交付や国民健康保険、地域振興などの行政サービスを提供する。中核市は全国に62市あり、県内では船橋市と柏市が該当。船橋市は中核市で最多人口を誇る。中核市は地域保健法で保健所設置が義務付けられ、児童福祉法改正により児童相談所の設置も可能となった。

過去の構想と研究

県西部地域では約20年前から、三つの政令市移行構想が検討されてきた。

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  • 東葛飾・葛南4市政令指定都市研究会(2007年4月設置):市川、松戸、船橋、鎌ケ谷の4市で構成。2009年3月の報告書では、4市合計160万都市で「生活創造都市」を掲げ、メリットと懸念点をまとめた。
  • 東葛広域行政連絡協議会(2006年5月設置):松戸、柏、野田、流山、鎌ケ谷、我孫子の6市で構成。約139万都市での政令市移行シミュレーションを報告。
  • 松戸市と柏市の調査(2008年度):政策判断の資料として「政令市移行に関する調査」を実施したが、必要性には言及せず研究報告にとどまった。

いずれも当時は「平成の大合併」や地方分権、三位一体改革による地方交付税・国庫補助負担の削減が背景にあった。鎌ケ谷市の北村真一副市長は、「どの自治体も合併を議論し、大きくまとまった方がいいという声が多かった」と振り返る。

今後の展望と課題

現在は少子高齢化が進み、扶助費などの行政支出が増加している。北村副市長は「財政難などで遠くない将来、全国の自治体で再び合併の動きが起こるだろう」と予測する。しかし、両市の合併構想には市民の意向や具体的な制度設計など多くの課題があり、本格的な議論は数年先になるとみられる。