岐阜県羽島特別支援学校(羽島市正木町大浦)の教諭、浜口柊さん(29)が、28日にポーランド・ワルシャワで開催されるベンチプレスの世界大会、59キロ級に出場する。2024年5月の前回大会では惜しくも2位に終わったが、変わらぬ思いは「特別支援学校の先生として出場することに意味がある」というこだわりだ。2年越しの再挑戦で、悲願の世界一を狙う。
筋トレとの出会い
筋トレを本格的に始めたのは、前任地の岐阜本巣特別支援学校(岐阜市)で働き始めてから。仕事場では、急に走り回ったり暴れたりする特性を持つ子どもたちと向き合う日々で、想像以上の力仕事だった。「少しでも役に立てば」と軽い気持ちで始めた筋トレだったが、競技としての面白さに熱中。あっという間に世界大会の出場権を獲得した。
銀メダルからの復活
悔しい銀メダルに終わった前回大会後、右肩のけがもあり競技から離れることに。「いったんやり切ったという感じだった」と振り返る。ジム通いに明け暮れる日々と比べて体は楽になったが、心のどこかに穴があいた感覚が残った。「自分らしさがどこかに行ってしまったような感じだった」という。
そんな中、学校の子どもたちから「筋肉すごいね」という一言が誇らしく思え、筋トレはいつの間にか自分のアイデンティティーになっていた。「やっぱり自分は体を動かさなきゃだめだ」。2025年7月、約1年のブランクを経て、再びバーベルを持ち上げ始めた。
再起への道のり
再開当初に持ち上げられたのは、自身のベストから約50キロも低い重さだった。しかし、足しげくジムに通い、筋肉を取り戻すべく努力を続けた。すると8月の大会では、全国大会の出場資格となる160キロ以上を持ち上げられるように。翌年1月に臨んだ全国大会では、自己ベストの170キロを記録した。
世界のトップで戦う選手たちは、自身もトレーナーなどの仕事に就き、公私ともに筋トレに集中している例が多い。「教員を辞めてもっと競技に集中したら」と誘われることもあった。それでも信念は揺るがなかった。「子どもたちのために、という思いが根底にある」。特別支援学校の教員として活躍することで、特別支援学校や障害のある子どもたちへの正しい理解につなげたい。「障害が個性として認知される社会になってほしい」という思いが、バーベルを持つ原動力だ。前回の悔しさと、子どもたちへの愛情を胸に海を渡る。



