東大卒のキャリア官僚が相次いで退職している。学歴社会の勝ち組とされる彼らが、なぜ幸せを感じられなくなっているのか。精神科医の片田珠美氏は、その背景に日本型雇用慣行の崩壊があると指摘する。
「いい学校→いい会社→幸福な人生」という幻想
多くの親は、高偏差値の学校を卒業し、一流企業に就職することが幸福への近道だと信じている。しかし、片田氏は「新卒一括採用、年功序列、終身雇用といった日本型雇用慣行が限界を迎え、努力が報われるとは限らなくなっている」と警鐘を鳴らす。
子ども時代の犠牲と後悔
片田氏の診察室には、親の期待に応えようと頑張った末に不登校やひきこもりになる子どもたちが訪れる。例えば、中学受験に成功したものの、優秀な同級生の中で成績が振るわず、不登校になった少年は「もっと遊びたかったのに、だまされた」と語った。また、医師である父親の跡を継ぐために医学部を目指した男性は、浪人と留年を繰り返し、うつ病を発症した。
キャリア官僚の退職と雇用システムの変化
かつて安定の象徴だったキャリア官僚も、今では辞める人が増えている。背景には、終身雇用や年功序列が崩れ、成果主義が浸透したことがある。片田氏は「就活で勝ち組になっても安泰とは限らない。黒字リストラの標的になる可能性もある」と指摘する。
学歴社会を支えてきた日本型雇用システムが機能しなくなり、学歴エリートでさえ幸福を追求しにくい時代になった。片田氏は、親や社会が子どもに「いい学校に入れば大丈夫」というメッセージを送り続けることの危うさを訴えている。



