京都大「タテカン」撤去訴訟、二審も違憲性認めず 職員組合の請求退ける
京大タテカン撤去訴訟、二審も違憲性認めず

京都大学の立て看板撤去を巡る訴訟、二審も職員組合の請求を退ける

京都大学が吉田キャンパス(京都市左京区)周辺に設置されていた立て看板(通称「タテカン」)を一斉撤去した措置について、表現の自由の侵害に当たるとして、京大職員組合が大学と京都市に550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が、2026年2月26日に大阪高等裁判所(長谷部幸弥裁判長)で言い渡された。

高裁は、原告側の請求を棄却した一審・京都地方裁判所の判決を支持し、職員組合側の控訴を退ける決定を下した。これにより、大学側の撤去措置の正当性が司法によって再確認される形となった。

職員組合側の主張と裁判所の判断

原告である京大職員組合は、控訴審においても「タテカンは京都大学の長年の文化であり、学生や教職員による表現活動や活発な意見交換の重要な場であった」と主張した。さらに、「その文化的・教育的価値を十分に考慮せず、過度な規制を課したことは憲法が保障する表現の自由を侵害している」と違憲性を強く訴えた。

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しかし、大阪高裁は一審判決の判断を踏襲し、「京都市の屋外広告物条例に基づく規制は、景観維持や強風による倒壊の危険防止といった公共の利益のために必要最小限度のものであり、過度な制約とは認められない」との見解を示した。判決文では、条例の目的と手段の合理性が強調され、大学が市の行政指導に従って撤去を行った手続きにも問題はないと判断された。

撤去に至った経緯と背景

事の発端は、2017年に京都市が実施した行政指導にある。市は、原告らを含む個人や団体が大学周辺に設置していた多数の立て看板が、景観の維持を目的とする屋外広告物条例に違反していると指摘。加えて、強風時に看板が倒壊する危険性も指摘し、京都大学に対して是正を求めた。

これを受けて、京都大学は2018年5月、吉田キャンパス周辺の立て看板を一斉に撤去する措置を実行した。撤去前には、百万遍交差点を中心に無数のタテカンが立ち並び、独特の風景を形成していたが、その光景は大きく変容することとなった。

職員組合側は、この撤去が大学の自治や自由な議論の伝統を損なうものだと反発し、2019年に損害賠償請求訴訟を提起。一審の京都地裁は2024年に原告の請求を棄却し、今回の控訴審でもその判断が維持される結果となった。

今後の影響と社会的な反響

今回の二審判決により、大学施設周辺における看板設置の規制と表現の自由のバランスを巡る法的な議論に一つの区切りがついた形だ。判決は、公共の安全と景観保全という行政目的を優先し、条例に基づく規制の範囲内で大学が行った対応を正当と評価した。

一方で、職員組合や一部の学生・卒業生からは、「タテカン文化の喪失は大学の精神的風土の変化を象徴する」といった落胆の声も聞かれる。今後の課題として、表現の自由と都市環境整備の両立をどのように図っていくかが、大学と地域社会にとっての重要なテーマとして残されている。

訴訟を通じて浮き彫りになったのは、伝統的な大学文化と現代の行政規制との間で生じる緊張関係である。京都大学の事例は、他の教育機関や公共空間における表現活動の在り方を考える上でも、示唆に富むケースとなったと言えるだろう。

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