最高裁が警備業法の欠格条項を「違憲」と判断 成年後見制度利用者の就業制限問題
最高裁が警備業法の欠格条項を「違憲」と判断

最高裁が警備業法の欠格条項を「違憲」と判断

最高裁判所大法廷(裁判長=今崎幸彦長官)は2月18日、判断能力に不安がある人の財産管理を支援する成年後見制度を利用する人に対し、警備業の仕事に就けないと定めていた警備業法の「欠格条項」について、憲法違反との判決を下しました。この判決は、一律的な就業制限の是非をめぐる長年の議論に大きな一石を投じるものです。

欠格条項とは何か

欠格条項とは、特定の条件に該当する人に対して資格や免許の付与を拒否したり、職業への就業を制限したりする法令の規定を指します。今回問題となった警備業法の条項は、成年後見制度の利用者を対象としており、その背景には1982年の制定当時、警備員による犯罪行為が相次いだことから「警備員の質の向上を図るため」という国の説明がありました。

原告男性の訴えと社会的背景

裁判の原告となった男性は、もともと警備員として働いていましたが、保佐人をつけたことを理由に退職を余儀なくされました。男性はこの措置が憲法違反であるとして国に賠償を求めて提訴。成年後見制度の利用者は2024年末時点で約25万人に上り、本人の判断能力の程度に応じて「後見人」「保佐人」「補助人」の3つに分類されます。

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障害者団体などからは、働く権利を一律に制限することは「差別だ」とする声が強く上がってきました。また、障害の有無にかかわらず全ての人が同じように暮らせる社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念が広がる中、法改正を求める意見が高まっていました。

法改正の動きと過去の裁判

2010年には、有識者や関係省庁で構成される研究会が「成年被後見人に関する資格制限を設ける場合は、必要性を慎重に検討する必要がある」との見解を示しました。これは、成年後見制度の利用と仕事の能力は別問題であり、安易な制限は避けるべきだという考え方を反映しています。

その後、2019年に国は「成年後見制度の利用を促すため」として、警備業法を含む約180の法律から欠格条項を削除しました。しかし、過去にも同様の裁判が起こされており、例えば2015年には大阪府吹田市の臨時職員だった知的障害のある男性が、保佐人をつけたことを理由に雇い止めにされたのは違憲だとして提訴。一審では請求が棄却されましたが、二審で和解が成立しています。

最高裁大法廷の役割と判決の意義

最高裁の大法廷が審理する案件は年間1~2件と限られていますが、新たな憲法判断が示されることも多く、判決への注目度は常に高いものです。今回の判決により、最高裁が法令の規定を違憲と判断したのは戦後14件目となりました。この判決は、一律的な就業制限の見直しを求める社会的な声を司法が後押しした形であり、今後の法制度や雇用環境に大きな影響を与えることが予想されます。

成年後見制度を利用する人々の就業機会の確保は、単なる法律問題を超え、多様性を尊重する社会の実現に向けた重要な一歩と言えるでしょう。今回の最高裁判決を契機に、さらなる制度の見直しと支援体制の整備が進むことが期待されます。

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