最高裁が警備業法の欠格条項を違憲と初判断 保佐人付きの雇用制限は憲法違反
成年後見制度を利用して「保佐人」が付いた人を警備員として働けないとする警備業法の「欠格条項」が、憲法に違反するとの初判断が最高裁大法廷によって示されました。裁判長を務めた今崎幸彦長官を中心とする大法廷は、2026年2月18日にこの画期的な判決を言い渡し、法律の規定を違憲と判断した事例としては14例目となります。
原告男性の経緯と訴訟の背景
この訴訟の原告は、軽度の知的障害を有する男性です。男性は財産管理をサポートするために成年後見制度を活用し、保佐人を付けていました。しかし、警備業法の欠格条項を理由として、勤務先の警備会社から雇用契約を終了させられるという不利益を被りました。
男性はこの処分に対し、国に対して慰謝料を求める訴訟を提起しました。一審の岐阜地裁と二審の名古屋高裁は、いずれも警備業法の欠格条項を憲法違反と認定し、賠償を命じる判決を下していました。これを受けて国側が上告し、最高裁での審理が行われていたのです。
最高裁の判断とその意義
最高裁大法廷は、保佐人が付いたことを理由に警備員としての就労を一律に制限する欠格条項が、憲法の保障する職業選択の自由を不当に制限していると判断しました。この判決は、障害の有無や支援の必要性に関わらず、個人の能力に基づいた公正な雇用機会を確保するための重要な一歩となります。
ただし、原告男性が国に対して求めた損害賠償請求については、棄却されました。最高裁は法律の違憲性を認めつつも、賠償責任の範囲については別途判断を示した形です。
社会への影響と今後の展望
この判決は、成年後見制度を利用する人々の就労環境に大きな変化をもたらす可能性があります。従来、保佐人や後見人が付いていることを理由に、特定の職業から排除されてきたケースが少なくありませんでした。最高裁の判断を受けて、他の業種における類似の欠格条項の見直しも進むことが期待されます。
また、障害者や高齢者など、支援を必要とする人々の社会参加を促進する観点からも、この判決は重要な意味を持ちます。企業側には、個々の能力を適切に評価する採用プロセスの構築が求められるでしょう。
最高裁が法律の規定を違憲と判断したのは今回で14例目となり、司法による立法府へのチェック機能が働いた事例としても注目されます。今後の法改正や政策調整を通じて、より包括的な雇用平等の実現が図られることが望まれます。



