再審制度の課題浮き彫りに 日野町事件で訴訟記録の原本1年半届かず
再審制度の課題 日野町事件で訴訟記録1年半届かず (25.02.2026)

再審制度の課題が顕在化 日野町事件で訴訟記録の原本届達に1年半

滋賀県日野町で1984年に発生した強盗殺人事件「日野町事件」において、最高裁判所が再審開始を認める決定を下した。被告人の阪原弘さんが2001年に初めて再審請求を申し立ててから四半世紀が経過し、ようやく再審の扉が開かれた。この決定は、審理の長期化が深刻な問題となっている再審制度の現状を浮き彫りにしている。

最高裁への訴訟記録届達に異常な遅延

最高裁の審理過程において、約1年半にわたり審理に必要な訴訟記録の原本が最高裁に届いていなかった事実が明らかになった。検察が2023年3月に特別抗告を申し立ててから、すでに2年10カ月が経過していたにもかかわらず、記録の原本が最高裁に到着したのは2024年9月9日であった。

阪原さんの長男で、第2次再審請求を申し立てた弘次さん(64)は、審理の長期化について強い不満を表明している。「毎日夜遅くに自宅に帰り、暗い中でポストを手探りで探す。何も入っていないとがっかりして家に入る。こんな思いは早く終わりにしたい」と心情を吐露した。

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制度の不備と専門家の指摘

現行の再審制度には手続きに関する具体的な規定が存在せず、審理の進捗速度は裁判官の裁量に委ねられている。この状況について、1986年に福井市で発生した女子中学生殺害事件で再審無罪となった前川彰司さん(60)は「裁判官の当たり外れとしか言いようがない」と厳しく批判している。

伊賀興一弁護団長は、訴訟記録の原本が審理に不可欠な資料であることを指摘し、「最高裁だけが取り寄せる判断に9カ月もかかるのはおかしい」と述べた。一方、最高検察庁は「弁護側の提出文書に対する意見書を作成するため原本を精査する必要があった」と説明し、「審理を不当に遅延させたとは考えていない」と反論している。

法制審議会の答申と課題

法務大臣の諮問機関である法制審議会は今月、再審制度の見直しを含む刑事訴訟法改正要綱を答申した。要綱では、再審請求を受けた裁判所が「遅滞なく調査しなければならない」と規定しているが、具体的な期間の明記は見送られた。

青山学院大学の葛野尋之教授(刑事法)はこの点について「6カ月以内に審理を始めるなど、具体的な期間を明記するべきだ。これでは問題は改善されない」と疑問を呈している。さらに、再審開始決定に対する検察の不服申し立てを禁じる規定が盛り込まれなかったことにも懸念を示した。

葛野教授は「非公開の再審審理よりも、公開の再審公判の方が迅速かつ公正である」と指摘し、「不服については再審公判で争うべきだ」と提言している。日野町事件を契機に、再審制度の抜本的な改革が求められている。

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