元長野県議妻殺害事件で最高裁が上告を棄却 懲役19年の判決が確定
長野県塩尻市の自宅兼酒蔵で妻を殺害したとして、元県議の丸山大輔被告(51)に有罪判決を言い渡した長野地裁の初公判から約1年半が経過。最高裁判所は4月13日付で、被告側の上告を棄却する決定を下しました。これにより、懲役19年とした一審・二審判決が正式に確定することとなりました。
間接証拠を基にした事実認定が焦点に
一審・二審判決によると、被告は2021年9月28日夜、同僚の県議らと飲酒した後、長野市の議員会館から車で塩尻市の自宅を往復。29日未明に何らかの方法で妻の希美さん(当時47歳)の首を圧迫して窒息死させ、物取り犯の犯行と見せかけたとされています。当時、不倫関係にあった女性との復縁を模索していたことなどから、「殺害を思いつかない状況にはなかった」と認定されました。
被告と犯行を結び付ける直接的な証拠は存在せず、間接証拠を基に「被告が犯人であるといえるか」が当初から大きな焦点となりました。長野地裁の裁判員裁判では、「議員会館と自宅間の6カ所の防犯カメラに写った不審車両と被告の車の同一性」「現場の状況や痕跡」など、四つの主要テーマに分けて詳細な審理が行われました。
一審判決は「合理的な疑いは残らない」と断じる
一審判決は、検察側が立証した間接証拠について、「単体では被告を犯人と認定する決め手にはならない」と指摘しました。しかし、複数の事実認定を積み上げた結果として、「被告が犯人であると認定でき、合理的な疑いは残らない」と結論付けました。
これに対し、弁護側は事実認定において「被告が犯人である仮説を出発点にしている」などと強く反論。個々の事実認定や評価に誤りがあるとして無罪判決を求め、控訴しました。しかし、昨年10月の東京高等裁判所判決は、地裁判決をほぼ全面的に追認し、控訴を棄却する判断を示しました。
最高裁は「上告理由に当たらない」と判断
被告側は上告趣意書で、事実認定の誤りを引き続き主張しました。特に、防犯カメラ映像に関する検察側証人の証言に明白な誤りがあると強調し、車両の同一性を否定する専門家の鑑定意見書も提出しました。しかし、最高裁の決定では、「上告理由には当たらない」と判断され、詳細な理由は示されませんでした。
主任弁護人の古本晴英弁護士は、「鑑定意見書によって、被告を犯人と認定した事実誤認を明らかにした。最高裁に真摯に検討されず、憤りを感じている」とコメント。4月15日に被告と接見し、再審請求を勧める意向を示しています。
古本弁護士によれば、2月の接見時には、被告が無罪主張を諦めず、犯人でないことを理解してもらえるように懸命に取り組んでいる様子が見られたということです。
地元では遺族への同情と複雑な思いが交錯
丸山被告の上告が棄却されたことについて、地元で被告を知る人々からは様々な反応が聞かれました。ある住民は、「やはり棄却になったか。遺族がかわいそうでつらい」と心情を吐露しました。
被告を県議時代に支援していた60代の男性は、「二審判決の結果から、上告は難しいと思っていた。裁判所がそう判断したのならそういうことなのだろう」と述べました。その上で、「本人は最後まで認めなかった。本当のことを言ってほしかった」と悔しそうに語りました。
被告や家族を知る別の近所の60代男性は、「こんなことになり本当に残念で悲しい。最高裁の決定が出たからには、被告には罪を償ってほしい。最高裁の決定を区切りに事件のことは忘れようと思う」と苦しそうに話しました。
この事件は、直接証拠がなく間接証拠に基づく事実認定の難しさを浮き彫りにするとともに、地域社会に深い傷を残す結果となりました。判決確定を機に、関係者たちは新たな局面を迎えることになります。



