自閉スペクトラム症の新井麻衣良さん、母校で支援員として6年間の経験を積む
自閉スペクトラム症(ASD)を有する埼玉県熊谷市の新井麻衣良さんは、自身の特性を生かしながら、母校の中学校において6年間にわたり特別支援教育に携わってきた。通級指導教室の支援員としての貴重な経験を経て、この春は生徒たちから教わった新たな視点を胸に、将来の進路について模索する時間を過ごしている。4月2日は世界自閉症啓発デーに当たり、新井さんの歩みは多くの人々に希望を与えるものとなっている。
「ガイドブックなしで外国に放り出された不安さ」と表現する学校生活
新井さんは自閉スペクトラム症による困難を、「ガイドブックなしで外国に放り出されたような不安さ」と表現する。同級生や教師が何を考え、どのようなやりとりを期待しているのかが見えにくいため、小学校時代には不登校を経験した。しかし、中学時代に障害のある生徒をサポートする通級指導教室で過ごす中で、信頼できる教師との出会いが転機となった。
その教師は「麻衣良は障害のある人とない人のつなぎ役になれる」と語りかけ、新井さんの存在を肯定する言葉をかけてくれた。この経験は、新井さん自身も他者を肯定する人になりたいという思いを強くさせ、大学卒業後の2018年、母校で自らが通級指導教室の支援員となる道を選ぶきっかけとなった。
支援員としての6年間と専門性の追求
母校での支援員としての6年間、新井さんは自閉スペクトラム症の当事者としての視点を生かし、生徒たちのサポートに尽力した。通級指導教室では、学習面や生活面での困難を抱える生徒たちと向き合い、信頼関係を築きながら支援を続けてきた。この経験を通じて、特別支援教育の重要性を実感するとともに、自身の特性が強みとなる場面も多くあった。
2025年には、さらなる専門性を高めるため一時的に離職し、民間資格である「特別支援教育士」を取得した。この資格取得は、新井さんが「つなぎ役」以外にも可能性を探求する一歩となった。特性と共にどのように進んでいくべきか、焦らずに考える姿勢が今の新井さんの基調となっている。
将来に向けた模索の春と世界自閉症啓発デー
この春、新井さんは生徒たちから得た新たな視点を胸に、将来の進路について模索する時間を過ごしている。自閉スペクトラム症という特性を抱えながらも、支援員としての経験を糧に、社会の中でどのように貢献できるかを考えている。4月2日の世界自閉症啓発デーを前に、新井さんの歩みは、障害のある人々が自身の特性を生かしながら活躍できる社会の実現に向けた一つのモデルケースとして注目されている。
新井さんは「特性と共に、どう進もうか」という問いを抱えながらも、焦らずに一歩一歩前進することを誓っている。母校での支援員としての経験が、今後の人生設計において大きな礎となることは間違いないだろう。



