JR只見線が登場する日本と台湾の合作映画で、ヒロインが描く劇中の絵画を担当した画家の吉田瑠美さん(43)(京都市)が、只見駅(只見町)でウォールアートに挑戦している。近くの山から見下ろす駅周辺の風景をテーマに制作しており、「大好きな町や只見線を応援したい」と吉田さん。11月の町文化祭の前後に再訪し、作品を仕上げるつもりだ。
映画との関わり
映画は、2024年5月に公開された「青春18×2 君へと続く道」(藤井道人監督)。18年前の台湾と現代の日本を舞台にした日台合作のラブストーリーだ。ヒロインの「アミ」を俳優の清原果耶さんが演じ、只見町出身という設定だったことから町内でもロケが行われた。
吉田さんは「よしだ るみ」の名前で絵本作家としても活動している。「新聞記者」「余命10年」などを手がけた藤井監督の姉でもあり、映画にはアミが描く絵画を担当するスタッフとして参加した。24年9月下旬には町の依頼で1週間ほど滞在し、会津塩沢駅の駅舎壁面をキャンバスに見立て、「アミが見ていた町の景色」をテーマにウォールアートを制作した。
制作のきっかけ
町内で制作するきっかけとなったのは、24年6月、映画を鑑賞した町内の中学生から「只見線の無人駅にも映画のようにアミの絵を描いてほしい」とのメールが届いたことだった。昨年は会津蒲生駅の駅舎壁面にも同様の作品を描いた。地域活性化に貢献したことが評価され、昨年7月には町の観光大使に任命された。
今回は近くの「要害山」(標高705メートル)から只見駅周辺を見下ろした風景をモチーフに制作。高さ約2・5メートル、幅約5・7メートルの駅舎壁面に只見線列車やカモシカ、春に飛来するカワセミ科の渡り鳥「アカショウビン」、地元で愛されるユキツバキやヒメサユリといった動植物を描いた。
現在の進捗と地域の反応
今回は6月下旬~7月初旬に滞在。期間中は雨で作業が中断したため、進捗状況は8割程度という。制作中には地元小学生らが現場を訪れ、壁面の下塗りを手伝ってくれたり、映画をきっかけに台湾から訪れた親子とも交流したりした。
「地元の人は温かく、山菜やコメなど食べ物もおいしい。子どもからお年寄りまで自由に意見を出し合い、一緒に町を作ろうという雰囲気がある」と吉田さん。渡部勇夫町長は「今にも動き出しそうな列車など、絵に臨場感がある」と完成を心待ちにしている。
吉田さんは只見線を題材にした絵本の制作も構想中だ。「映画がきっかけで生まれた素敵なご縁。たくさんの住民に支えられ、ますます町が好きになった。(ウォールアートも含め)子どもたちの記憶に残る作品になればうれしい」と話す。



