十六総合研究所(岐阜市)は、岐阜、愛知両県の新入社員244人を対象に実施した調査結果を発表し、管理職以上を目指す人が約3割にとどまったことを明らかにした。出世よりも私生活や働きやすさを重視する現代の若者像が浮き彫りとなった。
調査の概要と結果
調査は2024年度と2025年度に、両県に事業所を持つ企業へ入社した新卒社員に対して行われた。回答者のほぼ全員が、岐阜もしくは愛知で育った「地元就職者」だという。
目指す役職
目指す役職については、「関心がない(一般社員のまま)」が33.5%で最多となった。一方、役員は11.2%、部長は8.2%、課長は15.5%と、管理職志向の低さが目立った。
理想のキャリア
理想のキャリア像では、分野を極める「スペシャリスト」が35.6%を占め、幅広く活躍する「ゼネラリスト」の31.8%を上回った。
成長環境と消費行動
成長を促す環境としては、「丁寧なマンツーマン指導」が34%、「失敗を許容し次に活かせる風土」が21.3%で上位を占めた。厳しく鍛えられるよりも、心理的安全性が確保された状況下で成長を望む傾向が見られた。
消費行動では、旅行や交際費の支出意欲が高く、所有より体験を重んじる傾向が顕著だった。さらに、約6割がアニメやアイドルなどの「推し」を持つと回答し、推し活には年間平均で約15万5千円を費やしていることが分かった。
モチベーション要因
モチベーション向上の要因については、休暇やプライベートの充実を抑えて、「給与やボーナスが上がる」「自分の仕事の成果が目に見える」が重視された。過度な出世競争を避けつつも、納得感を持って堅実に働きたいという新入社員のリアルな姿がうかがえた。
専門家の分析
若者の管理職志向の低さについて、調査した十六総合研究所の西居宏上席研究員(51)は「働きたくないわけではなく、割に合わないと感じている」と分析する。価値観は出世が重視された昭和世代から「180度変わった」という。
調査では、会社のために幅広い業務を担うより、自身の成長や専門性、市場価値を重んじる若者が多いことが分かった。西居上席研究員は「無条件に頑張るのではなく、納得できる形で働きたいという意識の表れではないか」と指摘する。
会社への提言
新入社員に会社で長く働いてもらうためには「若手を変えようとしても問題は解決しない」と指摘する。上司が疲弊し、楽しそうに働く姿が見えなければ、上の役職を敬遠し、転職していく。「会社全体を令和の価値観に合わせることが大事だ」と強調する。
価値観をすり合わせる一歩として提案するのが「あいさつ、質問、評価」だ。あいさつや仕事の質問をきっかけに会話し、肯定的に評価することで、若者は「仕事を見てもらえている」と実感できる。個別面談で会社側の要望を伝えつつ、若者の希望にも耳を傾ける姿勢が「職場全体の意識変革にもつながる」と話した。



