豊予海峡ルート構想、海底トンネルの事業費試算が明らかに
大分県と愛媛県を橋または海底トンネルで結ぶ「豊予海峡ルート構想」をめぐり、道路専用の海底トンネルを整備した場合の概算事業費の試算が発表されました。この試算は、2026年3月23日に公表され、大分県の佐藤知事は定例記者会見で、「今後、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)などの議論を進めていく上で重要なデータになる」とその意義を強調しました。
試算の詳細と調査方法
調査は今年度、大分県が建設コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツ」(本社・東京)に委託して実施されました。豊予海峡は津軽海峡と水深などが類似していることから、本州と北海道を結ぶ鉄道トンネル「青函トンネル」を参考に、車が通る「本坑」、作業や避難用通路となる「作業坑」、地質や湧水を調べるための「先進導坑」を掘る想定で試算が行われました。
工法としては、重機などでトンネルを掘りながら壁面をボルトやコンクリートで補強する「ナトム工法」を採用し、片側1車線の高速道路を建造すると仮定しました。その結果、海峡部のトンネルの概算事業費は、本坑が6200億円、作業坑が1500億円、先進導坑が1600億円で、合計9300億円となりました。
陸上部の事業費は、大分県側が1000億円、愛媛県側が4900億円と試算されています。これにより、全体の事業費は、海峡部と陸上部を合わせて、約1兆5200億円に上ることが示唆されました。
官民連携の可能性と今後の展望
佐藤知事は記者会見で、この試算を基に新年度、PFIなどの官民連携策の導入可能性を検討する方針を明らかにしました。一方で、「国のプロジェクトとしてやってもらうのが本筋だ」と述べ、国による主導的な役割を強く期待する姿勢を示しました。
さらに、橋を架ける可能性についても、「観光に資するということもあるので排除しない」とし、改めて橋についても調査を進める考えを表明しました。これにより、豊予海峡ルート構想は、海底トンネルと橋の両方の選択肢を検討しつつ、官民連携や国の支援を模索する段階に入ったと言えます。
この試算は、地域経済の活性化や交通網の整備を目指す九州地方にとって、重要な一歩となるでしょう。今後、詳細な計画や資金調達の議論が活発化することが予想されます。



