「まんじゅうや」票の有効無効で分かれた判断 茨城・神栖市長選の舞台裏
「まんじゅうや」票の有効無効で分かれた判断 神栖市長選

異例の逆転劇:くじ引き当選から県選管の審査で当落逆転

昨年11月に行われた茨城県神栖市長選は、候補者2人の得票数が1万6724票で並び、公職選挙法に基づくくじ引きで新人の木内敏之氏が初当選を果たした。しかし、その後、落選した前職の石田進氏が異議を申し立てたことで、事態は大きく動く。市選挙管理委員会(選管)が全3万3667票を再点検したものの、得票数は同数のままであった。

石田氏はさらに県選管に異議を申し立て、これを受けて県選管が全票を再点検。その結果、木内氏の有効票2票と石田氏の有効票1票が無効票と判断され、石田氏の得票が1票上回る結果となった。これにより、当落が逆転する異例の展開となったのである。

焦点となった「まんじゅうや」と「だんごさん」の2票

この異例の事態の焦点となったのは、市選管が木内氏の有効票として数えた「まんじゅうや」と「だんごさん」の2票である。木内氏の実家は市内で老舗の和菓子店を経営しており、この店の商品は市内のスーパーなどで広く販売されている。また、木内氏本人を「まんじゅうや」と呼ぶ人もいるという地域の実情があった。

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市選管は県選管に対し、公職選挙法では他事記載など無効票の規定に反しない限り、投票者の意思が明白であれば有効票として扱うよう求めていると主張。「(問題の2票は)木内氏を指し示すと考えられ、反対に、石田氏を指し示す要素は全くない」とし、地域への浸透具合も考慮したと説明した。また、過去の仙台高裁判決を根拠に挙げ、その判決では候補者の家が長年鍛冶業を営んでいることから「カジ」と記載された票を有効と判断した事例を引用した。

県選管の判断:「通称」としての浸透度が不十分

一方、県選管は「木内氏に関する記載だと明らかでも、直ちに有効と判断できるわけではない」との見解を示した。公職選挙法では候補者名を自書するよう求められていることを挙げ、「本名に代わる呼称として広く通用しているもの」である通称に該当するかに焦点を当てた。

「まんじゅうや」や「だんごさん」と書かれた票が各1票にとどまったことなどから、通称と呼べるほど市内全域に浸透していないと判断。市選管が論拠に挙げた仙台高裁の判例についても、その選挙が行われた地域との規模差に着目し、「神栖市は面積が広く、人口が多くなれば同業者が多数いることが想定される」とした。

判断が分かれた背景:明確な線引きの難しさ

両選管で判断が分かれた背景には、票の扱いに関する明確な線引きがなく、開票管理者に判断が委ねられている事実がある。総務省の担当者は「地域の実情も加味した判断になるので、画一的な線引きはできない」と説明し、開票管理者によって判断が分かれることは十分にあり得るとした。

この件について、木内氏は県選管の裁決に納得できないとして、東京高裁に訴える考えを示している。県選管の担当者は「まだ途中段階。私たちは今回の裁決が正しいと思っているが、高裁が異なる判断を示す可能性もある」と述べている。

今後の行方

この異例のケースは、選挙管理における票の有効性判断の難しさを浮き彫りにした。裁判所の判断が注目される。

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