高市首相と有権者の意識に乖離?朝日・東大共同調査が示す実態
連載「高市人気」とのズレ――朝日・東大共同有権者調査2026の視点から、高市早苗首相の「黄金の2年間」を検証する。安心か、イデオロギー色か。谷口将紀・東大教授(現代日本政治論)が解説する。
2026年5月8日 11時31分
高支持率を誇る高市早苗首相が衆院選で圧勝してから3カ月が経過した。日米同盟の強化、憲法改正、議員定数の削減など、さまざまな課題を掲げて政権運営を進める中で、民意とのズレはないのか。有権者への意識調査からその実態を解き明かす。
リーダーと有権者の距離
谷口教授は「リーダーは文字どおり人々を牽引する存在である以上、議員と有権者の意識に距離があっても、直ちに問題とは言えない」と指摘する。ただし、民意との開きが長く続けば、選挙は白紙委任に近づいてしまう。政治が示す方向に人々が理解を深めていけるよう説明を尽くすか、あるいは政治が民意に歩み寄るか。いずれにせよ、丁寧な政治が求められると述べている。
経済・暮らしが最優先課題
今回の衆院選に際して、大半の人々が最も優先的に取り組むべきだと考えたのは、年金・医療・介護、財政・税制・金融、こども・子育て・教育といった、経済や暮らしに関わる課題であった。これまで高市首相は「重要な政策転換」を掲げるなど、従来の施政からの「変化」を強調してきた。その結果、こうした課題に最も適切に対処できるのは自民党であるという有権者の信頼を回復し、好感度の改善につながったことが、今回の圧勝の背景にある。
政治学者の谷口将紀氏は、永田町では大きな国政選挙のたびに政策論争が行われているが、有権者の関心はあくまで生活に直結する問題にあると指摘する。高市政権が進める保守的な政策アジェンダは、必ずしも有権者の優先順位と一致していない可能性がある。
調査が示す乖離
朝日新聞と東京大学の共同調査では、高市首相が重視する日米安保強化について、有権者の賛成は5割以下にとどまり、自民党議員の93%という高い支持率との間に大きな乖離が見られた。また、衆院選当選者の9割が憲法改正に賛成している一方で、有権者の間では慎重な意見も根強い。さらに、議員定数削減や企業・団体献金の扱いについても、自民党内と有権者の間で認識の差が浮き彫りになっている。
谷口教授は「高市首相の高支持率は、経済・暮らし分野での実績期待に支えられている面が大きい。しかし、イデオロギー色の強い政策を進めれば、支持率が低下するリスクもある」と警鐘を鳴らす。政権運営には、民意との丁寧な対話が不可欠だ。



