2026年5月6日、自民党が歴史的大勝を収めた2月の衆院選では、東京でも自民が全30選挙区を制覇した。その中でも、特に自民党が安定した地盤を持つとされるのが「城東地域」だ。足立区、荒川区、台東区、墨田区、江東区、葛飾区、江戸川区を含むこの地域では、2012年の政権復帰以降、東京15区(江東区)を除くすべての選挙区で自民党が議席を独占してきた。
城東地域の強みとは
墨田区議会の佐藤篤議長(40)は、城東地域で自民党が強い理由について、伝統的な地域社会の残存だけではないと語る。佐藤氏自身も、過去2回の区議選でトップ当選している実力者だ。
首長との関係が鍵
佐藤氏は「首長」に注目する。かつては多くの区長が自民系で、区議や都議から区長になるケースが一般的だった。現在はその傾向が薄れているが、城東地域では依然として自民系の区長や、自民党議員と協調する区長が多いという。「首長は街の顔。その人と協調できるかどうかで区議会も変わる」と佐藤氏は強調する。
国政選挙、首長選挙、地方議会選挙のたびに、後援会や組織が連動して動く。区議の後援会が衆院選で活動し、それが区議選にも好影響を与える。区長もそのサイクルに組み込まれている。このサイクルがうまく回っている地域は強いが、どこかが欠けると悪循環に陥るという。
地域をまとめる役割
佐藤氏は、政治家の役割は民意を統合することだと語る。さまざまな意見が出る中で、お互いが納得できる点を模索し、説得する。その過程でサンドバッグのように批判を浴びることもあるが、それを続けることで地域は強くなるという。
東京東部では、主要なポイントを考え方の近い人々が押さえており、基本的な認識を共有しているため、まとまりやすい。しかし、町会やPTAに参加しない人が増え、インターネットで情報を得る有権者も増えているため、危機感もある。佐藤氏は「対組織ではなく、対個人とつながることを意識している」と述べ、一人ひとりとの対話を重視している。
自民党の「個人商店」モデル
佐藤氏は自民党を「個人商店」に例える。肉屋、魚屋、米屋がそれぞれ独立して経営し、同じ商店街として緩く連携するようなものだ。地盤を大切にしながら、一人ひとりの有権者とつながり、首長や地域リーダーと協調する。個々の議員が個人商店として動きつつ、商店街として緩く連携するサイクルが、城東地域の自民党の強さを支えていると分析する。
街のブランドイメージと生協の存在
佐藤氏は、東京西部では生協(コープ)運動が盛んで、有機農法を好む住民が多く、生活者ネットの議員が多いと指摘。一方、城東地域では生活者ネットの議席が少ない。この差は街のブランドイメージの違いに起因するという。西側には西側の、東側には東側のブランドイメージがあり、それに合った人々が集まることで、さらにそのイメージが強まる相乗効果が生じている。
佐藤氏は「街のブランドイメージと投票行動はかなり関係している」と結論づけ、23区で政策に大きな差がない中で、イメージが投票に影響を与えている可能性を示唆した。



