福島県の園芸作物産出額が震災前水準に回復、新プロジェクトで17品目を重点振興へ
福島園芸産出額が震災前水準回復、新プロジェクトで17品目振興 (19.03.2026)

福島県の園芸作物産出額が震災前水準に回復、新たな振興プロジェクトが始動

果樹や野菜などの園芸作物は、農業産出額の約4割を占めており、福島県農業を支える重要な役割を担ってきました。市場ニーズが高い時期に出荷できる貯蔵技術の導入など、高付加価値化の取り組みを進め、中長期的に地域経済を支える安定した産地を形成することが極めて重要です。

震災後の再生努力が実り、産出額が回復

東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、県は施設の損傷に加え、風評被害の影響も受けた園芸作物の再生に向けて、モモやキュウリ、宿根カスミソウなどの主要10品目を重点化した振興プロジェクトを推進してきました。その結果、2024年の園芸作物の産出額は997億円となり、震災前の2010年の水準に到達することができました。

産出額回復の背景には、シャインマスカットなど人気品種の栽培拡大による販売単価の引き上げ、キュウリやアスパラガスの施設栽培の拡充などの地道な取り組みがありました。県と生産団体には、整えた生産基盤を足がかりとして、品目ごとの産出額の上積みを図っていくことが求められます。

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新プロジェクトで17品目を重点振興、相双地方の復興に期待

県は新年度、2030年度までの5年間を期間とする新たなプロジェクトをスタートさせます。現行の主要品目の中から大規模化が難しいサヤインゲンを外し、新たにリンゴ、ピーマン、ブロッコリー、ネギ、タマネギ、イチゴ、キク類、枝物類を加えた17品目を重点品目として振興を目指す方針です。

新たな重点品目は、産出額に伸びしろがある作物を中心に選定されましたが、このうちブロッコリーとネギ、タマネギは、これから営農再開が本格化する相双地方での生産が期待されています。農地の集約や県内外の農業法人の参入などを促し、園芸作物の振興を通じた農業復興に結び付けていくことが必要です。

課題は担い手不足と価格差、将来を見据えた対策が急務

産出額は震災前まで回復したものの、担い手不足が懸念される状況は変わらず、生産コストに原油高なども影響してくるでしょう。本県産を避けるなどの風評は目立たなくなりましたが、震災後に流通、販売でのシェアを奪われたことによる他産地との価格差が埋まらず、固定化してしまった作物もあります。

就農希望者と農地承継を考える人とのマッチングや、温暖化に耐性のある品種への切り替えなど、将来を見据えた対策を速やかに実施することが欠かせません。併せて、消費者の好みの味に合わせた県オリジナル品種の開発や導入、品質を証明する認証GAP(農業生産工程管理)の取得などを進め、産地の維持拡大と、価格差の縮小を図っていかなければなりません。

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