ロシア、戦費調達の切り札としてオンラインカジノ合法化案を浮上
ロシアのプーチン政権が、ウクライナ侵攻の戦費捻出を目的に、オンラインカジノの合法化案を検討していることが明らかになった。背景には、原油価格の下落や米欧の対露制裁の影響で、ロシアの生命線である石油・ガス収入が大幅に減少していることがある。政権は既に付加価値税(VAT)を20%から22%に引き上げるなど財政強化策を打ち出しているが、さらなる歳入確保が急務となっている。
財政難が深刻化、年間2000億円の税収見込み
ロシア大手紙コメルサントは1月27日、アントン・シルアノフ財務相がプーチン大統領にオンラインカジノの合法化を提案したと報じた。ロシアでは2009年に賭博禁止令が施行され、カジノは極東やバルト海沿岸など限られた地域にのみ認められてきた。しかし、現在では認可外の違法サイトが乱立し、その取引額は年間3兆ルーブル(約6兆円)を超えると推計されている。
財務省は、オンラインカジノを解禁し、事業者収益に少なくとも30%の課税を実施することで、年間1000億ルーブル(約2000億円)の税収を見込んでいる。これは、石油・ガス収入の減少を補う重要な財源として期待されている。
石油・ガス収入が大幅減少、国防費は高水準維持
米ブルームバーグ通信によると、2025年のロシアの石油・ガス収入は計約8兆4800億ルーブル(約17兆円)で、前年比約24%減となった。ロイター通信は、今年1月の収入が前年同月比で半減したと伝えている。一方、2026年予算では、国防費と安全保障関連費を合わせて約16兆8400億ルーブル(約33兆円)と、歳出の約38%を占める高水準を維持している。歳入不足は約3兆7900億ルーブル(約7兆4700億円)に上り、財政圧迫が深刻化している。
合法化への慎重論も根強く、過去の教訓を警告
ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、合法化の実現については「時期尚早」としつつも、政府が検討していることを認めた。しかし、慎重論も少なくない。独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ」は、カジノが身近にあった時代を振り返り、「何万人もの人生が台無しになった」と依存症患者の拡大に警鐘を鳴らしている。ロシア正教会の報道担当者も「伝統的な価値観と相いれない」と懸念を表明し、社会的影響への配慮を求めている。
プーチン政権は、高所得者への課税強化やVAT引き上げなど、既に複数の財政措置を実施しているが、戦費捻出にはなお不足している状況だ。オンラインカジノ解禁は、こうした財政難を補うための緊急措置として浮上しているが、過去の賭博禁止の経緯や社会的リスクを踏まえ、議論は慎重に行われる見通しだ。