元TBSアナウンサーの笹川友里さん(36)は現在、女性のキャリアを支援する事業の起業家として活躍している。自身もキャリア選択に葛藤してきた経験から、働き方の見直しや転職活動に役立つ情報を届け、「女性たちが人生を主体的に選ぶ手助けをしたい」と語る。
アナウンサー志望から総合職へ、転機となった出産
アナウンサー志望でしたが就職活動が思うようにいかず、TBSテレビに総合職で入社し、アシスタントディレクターとして働き始めました。生放送番組を滞りなく進めるために、会議室の手配、ロケ、編集などの膨大な業務があって、効率とスピードが求められるため、社内外の人とのコミュニケーションを密に取って、先を読む力が身についたと思います。
入社1年後にアナウンスセンターに異動しました。決められた時間内に話したり、言葉一つ一つを大事にしながら忠実に伝えたりするスキルがなかなか身につかず、最初は苦労しました。でも、大きなやりがいを感じ、一生懸命に励みました。一方で、ニュースや情報を扱っているのに、「世の中を知らないまま伝えているのでは」と感じるようになりました。
結婚し、長女を出産し、ライフステージが変わって改めて自分の人生を考えた時、違う世界に飛び込むなら今かもしれないと考え、3年ほど悩んだ末、30歳の時に退社しました。
共同創業者との出会い、NewMe設立
退社前から、様々な業種の女性たちをつなぎ、情報交換する場をつくりたいと考えていました。私もキャリアについて悩んできた一人。多様な働き方や価値観に触れ、人生を考える機会を得ることは、今を生きる女性たちにとって大切なことだと思っていました。
ロールモデルが身近にいないその頃、後に共同創業する篠原さくらさんと知り合いました。同じ年の子どもを持つ彼女は、長く人事の仕事をしてきたので女性のキャリアに関心があって、2人で語り合ううちに、同じ問題意識を持っていることに気づきました。仕事にも生活にも全力で向き合いたい女性が増えているのに、それを実践しているロールモデルが身近におらず、気軽に相談できる場が少ない――。この問題を解決できる事業に挑戦しようと意気投合し、2023年、会社を設立しました。
事業内容と今後の展望
私たちの事業は20~40歳代の働く女性を対象としています。女性活躍を推進する企業とつなぐ転職サービスのほか、様々な業種で活躍する女性たちにインタビューし、仕事の効率化や管理職の目指し方、キャリア形成をテーマにした動画を配信しています。
昨年11月には登録制の有料コミュニティー事業「Fourth」を始めました。約300人の登録者がいて、対面とオンラインを併用したイベントを定期的に開いています。社内では聞きづらいことを少し先を歩む人に相談したり、同じ悩みを抱える仲間ができたり。不安を抱えて参加した女性たちが前向きになっていく姿を見ると、起業して良かったと思います。
私自身も、多くの働く女性たちと出会う中で、学んできました。33歳の時に2人目を出産し、仕事と育児に全力投球して息切れしてしまうこともありました。でも、共働きが当たり前となった今の時代の子育ては完璧でなくていい。いろいろと模索して、子どもは自立していくものなんだという考えに至りました。私たちの事業が「こうあるべきだ」という凝り固まった考え方や、モヤモヤとした不安を抱えて立ち止まっている女性たちにとって、一歩踏み出す助けになれればいいなと思っています。



