春節シーズンの渡航自粛が百貨店に直撃、免税売上高が大幅減少
2026年3月2日、大手百貨店4社が発表した2月の免税売上高(速報値)は、全社が前年同月を下回る結果となった。これは、中華圏の重要な休暇期間である春節(旧正月)シーズンに、中国政府による日本への渡航自粛要請が発出された影響が大きく、例年よりも中国人客が大幅に減少したためである。
各社の免税売上高減少幅、松屋が最も深刻
具体的な減少幅を見ると、松屋が前年同月比20%減と最も大きな落ち込みを示した。特に春節期間である2月15日から23日に限定すると、前年の同じ期間と比較して41%減という大幅な減少となっている。
大丸松坂屋百貨店は16.2%減を記録し、訪日外国人(インバウンド)の購入客数に至っては27.4%も減少した。高島屋の免税売上高は13.0%減、三越伊勢丹ホールディングスは6.8%減と、各社とも厳しい数字が並んだ。
渡航自粛要請下でも日本を旅行する中国人客の存在
中国政府の渡航自粛要請が出されている状況下でも、一部の中国人旅行客は日本への旅行を選択している。百貨店関係者によれば、「渡航自粛要請はあくまで要請であり、強制力を持つものではない」という認識が背景にあるという。
さらに、日本への旅行を決断した中国人客の中には、事前に計画していた旅行をキャンセルするよりも、慎重に行動しながら実施することを選ぶ層も存在する。特に、日本の衛生管理や観光地の混雑緩和策に対する信頼が、旅行継続の理由として挙げられている。
百貨店側の対応と今後の見通し
各百貨店は、中国人客の減少に対応するため、以下のような対策を講じている。
- 免税コーナーのスタッフ配置を見直し、他の国籍の訪日客への対応を強化
- オンラインでの商品紹介や予約受付システムの拡充
- 春節期間以外のプロモーション活動に注力し、売上回復を図る
しかし、日中関係の悪化が続く中、渡航自粛要請がいつ解除されるかは不透明であり、百貨店業界では当面の間、厳しい経営環境が続くことが予想されている。
インバウンド市場全体への影響と代替需要の動向
中国人客の減少は百貨店だけでなく、ホテルや観光施設にも影響を及ぼしている。一方で、台湾や韓国、東南アジアからの観光客が一定程度増加しており、これらの市場への依存度を高める動きも見られる。
特に台湾からの観光客については、リピーター率が9割近くに達するなど、日本への強い愛着を示す傾向が報告されている。このような代替需要が、中国人客減少による打撃を緩和する一因となっている可能性がある。
総じて、2026年の春節シーズンは、渡航自粛要請という特殊な状況下で、百貨店の免税売上高が大きく落ち込んだ一方で、それでも日本を旅行先として選ぶ中国人客の存在が浮き彫りになった。今後の日中関係の進展と、インバウンド市場の多角化が、観光業界の鍵を握ると言えそうだ。



