名鉄百貨店71年の歴史に幕 最終営業日に感謝のガーベラ2000本配布
名鉄百貨店71年の歴史に幕 最終営業日に感謝のガーベラ配布 (01.03.2026)

名古屋駅前のランドマークが71年の歴史に幕

名古屋駅前に長年にわたりにぎわいを生み出し、時代を先取りしてきた「名鉄百貨店」(名古屋市中村区)が2月28日、ついにその営業を終えた。隣接する商業施設「近鉄パッセ」も同日をもって閉店し、名駅周辺の風景が大きく変わる節目となった。

最終営業日に溢れる思い出と感謝

最終営業日となったこの日、名駅周辺は往時を懐かしむ客や最後の買い物を楽しむ人々で混み合った。名鉄百貨店は1954年の開業以来、71年間にわたり地域の生活に寄り添ってきた。売り尽くしセールが開催された最終日には、開店前から多くの家族連れが列をなした。

従業員の朝礼で、犬塚篤史本店長は「71年分の感謝を胸に、さみしさだけで終わるのではなく、お客さまや仲間と笑顔で楽しく、心に残る時間にしていきましょう」と全員に呼びかけた。開店時には、同店が「71年分のありがとう」のシールを貼ったガーベラ2000本を1輪ずつ客に手渡し、長年の感謝の気持ちを表現した。

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各フロアに広がる感慨深い光景

店内の各フロアには多くの客があふれ、開店からの歩みをたどる「71年分の歴史展」や、店を最後にPRする巨大マネキン「71年間ありがとうございましたナナちゃん」の前で記念写真を撮る人々の姿が目立った。

かつて食品売り場で働いていた名古屋市中川区のパート従業員、安藤直美さん(55)は「親とよく来て洋服を買ってもらい、食堂で旗がついたお子様ランチを食べた思い出があります。最後に売り場を回って、たくさんの思い出を振り返りたいです」と涙ぐみながら語った。

夕方には思い出を語るトークライブも

閉店のセレモニーでは感謝のボードが掲げられ、夕方には百貨店の思い出を語るトークライブが開催された。「化粧品売り場で働いていた母が月に1回連れてきてくれた」、「ここ1週間、仕事後にほぼ毎日来ました。親切な店員さんが多くて、すごく好きな場所でした」といった心温まるエピソードが次々と披露された。

跡地の活用と従業員の今後

名古屋鉄道は、一定期間をおいて百貨店低層階の一部店舗で営業を再開する方針を示している。百貨店従業員425人(1月末時点)については、名鉄グループ内外への就職支援を行い、雇用を継続していく計画だ。

近鉄パッセも同日に営業終了

一方、隣接する近鉄パッセでは、午後7時過ぎに玉田貢司店長が「近鉄パッセで過ごした時間が、皆様の思い出のどこかに、優しく残り続けることを願っております」とあいさつし、71年間の歴史に幕を下ろした。

跡地再開発は未定、にぎやかさ維持を願う声

名鉄百貨店の石川仁志社長(64)は28日、店内で報道陣の取材に応じ、百貨店ビルの跡地利用について「難しい状況の中でも、利便性に配慮したにぎやかさを何とか維持できる形に早くなってほしい」と述べ、上層階を含めた活用策の必要性を強調した。

親会社の名古屋鉄道は昨年12月、名古屋駅周辺の再開発計画のスケジュールがすべて未定になったと発表している。ビルの解体時期も未定で、一等地にある百貨店ビルなどは当面、そのまま残される見込みだ。

石川社長は上層階の活用について「名古屋鉄道の担当部署で検討していることだと思いますが、判断はもう少し先になると思います」と説明。その上で「設備の問題もあるし、改修も必要になるので、みなさまが期待しているような形の営業はできないかもしれません」と現実的な見解を示した。

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名古屋駅前のランドマークとして親しまれてきた名鉄百貨店の閉店は、地域の歴史の1ページがめくられたことを意味する。71年間にわたる営業の中で築かれた数々の思い出は、これからも多くの人々の心に残り続けるだろう。