カプセルトイが大人の心を掴む 名古屋発の専門店が市場を牽引
硬貨を入れてハンドルを回すだけで、おもちゃの入った容器が出てくるカプセルトイ。かつては子供向けの遊びだったが、今や大人の間でも確かなブームとなっている。椙山女学園大学(名古屋市千種区)の新聞報道部が、日本カプセルトイ協会代表理事も務める専門店「ドリームカプセル」(同市緑区)の都築祐介社長(53)に取材を行い、その人気の秘密に迫った。
市場規模は過去最高の約1960億円に拡大
日本カプセルトイ協会が発表した動向調査によると、今年度の市場規模は約1960億円に達し、過去最高を更新している。拡大傾向は続いており、この数字は業界全体の活況を物語っている。
都築社長は人気の背景について、「デジタル疲れではないか」と分析する。インターネットで情報は簡単に入手できる時代だが、実物を所有する体験への欲求が人々の心に残っているという。硬貨を自らの手で入れ、ハンドルを回して商品をゲットする。このアナログならではのプロセスに、現代人が魅力を感じているのだ。
「一期一会」の縁が楽しみの一つ
日本のカプセルトイは、ガムボールの販売機にルーツを持ち、1965年に米国から機械が輸入されたのが始まりとされる。その後、独自の改良を重ねて現在の形へと発展してきた。
都築社長は、「クレーンゲームとは違い、確実に商品が手に入る一方で、ランダムに出てきて中身を選べない運試しが楽しみになっている」と語る。「『一期一会』の縁です」という言葉が、カプセルトイの本質を的確に表現している。
若い感性で毎月700種類の新商品を開発
動向調査によると、主な購買層は20~30代の女性だ。このニーズを的確に把握するため、ドリームカプセルでは同年代の女性社員8人が商品開発を担当している。都築社長は「流行は芽が出た段階で動く。察知するのは若い感性」と強調する。
鋭敏なセンスを武器に、同社は毎月700種類もの新商品を開発・投入している。そのラインナップは多岐にわたり、名古屋の人気スイーツ「ぴよりん」を模した小銭入れや、アニメ映画「鬼滅の刃」など日本発のポップカルチャー系キャラクター商品も揃える。
地域連携で差別化を図る戦略
地元名古屋の企業と連携した商品の展開にも積極的だ。みそカツや金シャチといった地域色を打ち出した商品で差別化を図り、観光客にとっては土産物の選択肢が増える。企業側にとっても、商品を通じて地域の魅力を発信する新たな機会となる。
昨年4月に中部国際空港(愛知県常滑市)にオープンした店舗は、帰国直前の隙間時間でも手軽に楽しめる体験型のおみやげ需要を喚起している。旅行の最後を彩る新たな体験として、定着しつつある。
260台のマシンが並ぶ専門店の魅力
取材に訪れた名古屋市中区の「ドリームカプセルMainLabo」には、260台のマシンが設置されている。1回200円から500円で楽しめ、ジャンル別に分類されているが、目当てのグッズが出てくるかは分からない。この不確実性こそが、多くの人を虜にする要素だ。
椙山女学園大学新聞報道部員も、「筆者もとりこになった一人で、ドキドキ感を味わいにまた回しに行きたくなった」と語る。カプセルトイの魅力は、単なる商品収集を超えた体験価値にあることが窺える。
デジタル化が進む現代において、アナログな楽しみを提供するカプセルトイ。名古屋発の専門店が牽引するこのブームは、今後もさらなる広がりを見せそうだ。



