ANA、空港手荷物運搬にEVトラック導入へ実証実験を開始
全日本空輸(ANA)は2月18日、空港施設における脱炭素化の取り組みをさらに推進するため、航空機と空港施設の間で乗客の手荷物を運搬するトラックに電気自動車(EV)を活用する実証実験を本格的にスタートさせた。この実験を通じて、充電時間や航続距離、運用コストなどの詳細なデータを収集し、将来的な本格導入に向けた準備を進めていく方針だ。
いすゞ自動車のEVトラックを採用、羽田と新千歳で実施
今回の実証実験では、いすゞ自動車が開発・製造したEVトラックを採用している。具体的な導入場所としては、羽田空港(東京都大田区)に2台、そして寒冷地環境を有する新千歳空港(北海道千歳市)に1台を配置し、異なる気候条件下での車載電池への負荷や充電にかかるコスト、さらには運用効率を多角的に検証していく計画となっている。
ANAによれば、このEVトラックを1台導入することで、年間約2トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減できる見込みであり、環境負荷の軽減に大きく貢献することが期待されている。同社は既に、2050年度までにCO2排出量を実質ゼロとするという野心的な目標を掲げており、今回の実証実験はその達成に向けた重要な一歩と位置付けられている。
国内空港の車両約1000台をEV化する可能性も
実証実験の結果を踏まえ、ANAは国内の各空港で現在保有している約1000台の手荷物運搬車両を、順次EVへと切り替えることも検討している。これにより、航空業界全体の脱炭素化をリードし、持続可能な社会の実現に寄与することを目指す。
実証実験開始に際して行われた記者会見では、ANAの吉田秀和執行役員が「EV導入による業務への影響や環境面での効果をしっかりと見極め、今後の展開に活かしていきたい」と述べ、慎重かつ着実な検証姿勢を示した。また、いすゞ自動車の能登秀一執行役員は「空港における脱炭素化の動きを前進させるための第一歩として、当社の技術が貢献できることを願っている」とコメントし、両社の連携による環境対策への意欲を強調した。
この取り組みは、航空業界のみならず、物流や運輸分野全体におけるEV普及のモデルケースとなる可能性を秘めており、今後の動向が注目される。ANAは実験期間中、データ収集と分析を継続し、2026年度以降の本格導入に向けた具体的なロードマップを策定する予定だ。



